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青森県女性ロールモデル 事例5【吉田 理絵さん】

頑張っている自分を認め、自分自身をほめてあげて

分野: 就業・キャリアアップ/子育て・介護

社会福祉法人青森社会福祉振興団
特別養護老人ホーム金谷みちのく荘
 吉田 理絵さん(むつ市)

 

チャレンジのきっかけは?

高齢者の介護=お世話の感覚/ボランティア体験が決め手に
 私は、中学、高校の時期に、○○士(師)という職業に漠然と憧れていて、保育士や看護師、理学療法士や作業療法士などいろいろある中で、「介護福祉士って何だろう」と最初に思ったのがきっかけでした。高校の夏休みに介護施設にボランティアに行って、介護を経験したことや専門学校の今でいうオープンキャンパスで介護に関する学びを目の当たりにしたことなどが進路選択の決め手になりました。ただ、その時は、介護とは「ちょっとお世話すること」や「高齢者の食事やお風呂のお手伝いをする」感覚で、軽い気持ちで考えていました。

チャレンジのみちのり

挫折を乗り越えて
 専門学校卒業後に、八戸市にある介護施設で介護福祉士としてのスタートを切りました。2度の転職を経て、通算約20年続けてきました。専門学校では、私が考えていた介護は実際の介護とは程遠いものだと気づきました。介護の知識、技術の修得のほかに、介護を必要とする利用者自身の生活歴等を知り、理解することができなければ、介護はできないのだと思い知ったのです。
 実際の介護は、就職後に利用者さんを介して勉強させていただいたことが多くあります。以前、私がそばに付いていなかったことにより、利用者さんが転倒し骨折してしまったことがありました。この時はもう辞めてしまいたいと思いましたが、失敗から逃げて、辞めたからといってこの方の骨折がなかったことになるわけではありません。その後も何度も挫折し、そのたびに「もういいかな、辞めても」と思うこともありましたが、そうした時には、初心から現在までの過程を思い出すようにしました。最初からこうではなかった、いろいろなことを経て今があるのだと思い直し、乗り越えてきました。
 失敗には理由がいろいろあると思いますが、まずは失敗したことをきちんと自分自身で受容すること、受容して、なぜこういう失敗が起きたか考えることを心がけています。そして失敗を失敗のままにせず、次のステップにいかなければなりません。
そうした中で、悩みながら、時に泣きながら続けてきました。これは私一人で乗り越えてきたのではなく、よい仲間や上司に恵まれて、その方々の支えや力が大きく、今までやってこられたのだと思っています。

★現場責任者として
 介護福祉士として介護業務や相談員などを経て、現場責任者という立場になりました。現場の職員や利用者をよく見て、現場での課題解決のために先導を切るのが私の役割です。
介護現場では全国的に職員の離職が多いなどの課題があります。私が以前管理者を務めていたときにも、退職した若い職員がいたし、退職の相談をされたこともありました。退職に関する相談に限ったことではありませんが、職員から相談をされたときには、まずは話を聞く、そう思ったきっかけを聞くようにしています。「辞めたい」という理由を聞いていくと、その過程に実際の仕事の悩みや現場で困っていることなどが出てくるときがあります。その思いや感情を話しやすくなるように、うまく引き出して聞くことを心がけています。
 また、現場の職員の様子を見て、表情が暗いなど「あれ?」と思ったときには、こちらから話しかけることも多くあります。悩んでいてもなかなか自分から話しにくいということもあると思うので、気になった時にはそっと話しかけたり、何かの機会に話を聞いてみたりしています。職員の中には利用者の皆さんに心地よい空間、介護サービスを提供しなければいけないと自分に言い聞かせて、大変なことや辛いことがあっても、それを我慢して無理をしてしまうということもあります。仕事に対するちょっとした不満や愚痴なども話せないと思っている若い職員に対しては、「こんな風に思っていたんじゃない?」「しんどい時はしんどいと言っていいんだよ」などと声がけをしています。サインをキャッチしたらすぐに相手を見て、声をかけたり、話しやすい雰囲気づくりをしています。私も同じように悩んでいたことや体験してきたことを踏まえて、その都度必要なことを伝えています。

チャレンジしてみて

いろいろ経験してみて今だから言えること
 すべては今だから言えることなのかもしれませんが、仕事を続ける上で、一人では解決できないことが出てきたときに大切なことは、周囲とのコミュニケーションを日頃からしっかりとっておくことだと思います。知識や技術は勉強すれば何とかなると思いますが、それだけでは仕事を継続していくのは難しいです。一緒に笑ったり泣いてくれる信頼できる上司や仲間がいてこそ、続けられるのだと思います。しかし、待っているだけではだめなので、自分からもアプローチが必要です。今後は、自分が先輩や上司の方々に育てていただいたように、後輩の指導を担っていければと思います。

★家族と職場の理解や応援に感謝/母の背中を見て子は育つ
 私は現在、むつ市の実家で両親と子どもたちと暮らしています。介護の仕事は夜勤もあるため、その間の世話や学校の送迎などを両親が協力してくれて、私は仕事を続けることができました。こうした家族と職場の理解や協力のおかげで、私は仕事を頑張れるし、子どもたちの行事や成長を見届ける場にも行けて、感謝しています。
 今、長女は大学生に、長男は高校生になりました。私の仕事の影響もあるかもしれませんが、長女は医療系の大学に進学し、資格取得を目指して頑張っています。長男もやりたいことが決まっているらしく、夢に向かって頑張っているようです。二人ともやりたいことに向かって頑張っているのが嬉しいですね。

★介護業界で進むICT、外国人労働者の活躍
 20年近く介護の現場に身を置いていますが、介護を取り巻く状況も変わってきています。今はICT、ロボットの導入により、天井走行リフトなどが使用され、利用者の負担や私たち介護職員の負担軽減にもつながっています。
 また、当法人ではベトナムやインドネシアから介護職の研修の受け入れも行っています。初めは外国の方とはコミュニケーションをとるのが難しいと感じることもありましたが、とても熱心で勉強家の方々ばかりで、私たち日本人が見習わなければならないことが多くありました。利用者との信頼関係も強くて、私たちにとっても学ぶことやプラスになる影響が多く、刺激を受けています。

これからチャレンジする女性へのメッセージ

★頑張っている自分を認め、自分自身をほめてあげて
 私はずっと介護の仕事をしています。その間に結婚、出産、離婚も経験しました。決して一人では続けることはできませんでした。家族や職場の理解と協力があったからこそ続けられました。よい時ばかりではありませんが、頑張っている自分を認め、自分自身をほめることがあってもよいと思います。そして、好きなこと、息抜きも大切にしながら頑張ってほしいです。
(令和2年2月取材)

【プロフィール】
青森県むつ市出身。
医療福祉の専門学校卒業後、県内の社会福祉法人で特別養護老人ホーム等2か所の勤務を経て、平成20年からむつ市の社会福祉法人青森社会福祉振興団にて在職中。現在は同法人の特別養護老人ホーム金谷みちのく荘において、現場責任者兼係長を務める。

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