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青森県女性ロールモデル 事例6【石岡 千穂さん】

置かれている立場を理解し、周りと協力を

分野: 就業・キャリアアップ

株式会社 みちのく銀行
 石岡 千穂さん(青森市)


チャレンジのきっかけは?

流れに任せ、引き受けてからがチャレンジの日々
 学生だった当時はバブル景気で、就職先の選択肢は数多くありました。その中で、銀行員という職業には公務員に近い印象があり、憧れていたことと、更に、みちのく銀行は「家庭の銀行」をキャッチフレーズに掲げ、一人ひとりのお客さま、そして地域に寄り添った親しみやすい銀行ということで好印象を持っていたことから、入社試験を受けようと決めました。それまで情報処理を学んでいたので、システム系の試験を考えていましたが、会社説明会でお世話になったみちのく銀行の人事担当者に「あなたなら窓口業務で活躍できる」とアドバイスを受け、窓口業務を希望しました。また、制服がとてもかわいくなったと聞き、「着てみたい!」と思ったことも志望理由の1つです。
 現在の支店長という立場も、自分から積極的に挑戦して就いたというわけではありません。「私は絶対支店長になる!」と果敢にチャレンジしていったものではなく、簡単に言えば組織の一員として、支店長になる話が来た時にそのまま引き受けたという形です。支店長といえば、新入行員だった私から見て雲の上のような存在だったので、実際「自分にできるのかな?」という不安な気持ちで始めることになりましたが、支店長になってからもチャレンジの連続です。

チャレンジのみちのり

一番の苦労は新入行員時代
 最初につまずいたのは、新入行員の時です。私は板柳支店に配属されましたが、板柳支店では十数年ぶりの新入行員だったため40代や50代のベテランの方ばかりで、気軽に質問できる人がいませんでした。悶々として家に帰り、「明日辞める」と家族に毎日話し、それでも、寝て起きてとりあえず出勤するという日々を繰り返し、1年が過ぎる頃には年齢に関係なく皆さんとコミュニケーションがとれるようになり、可愛がってもらえるようになりました。仕事は厳しくても、皆さんのフォローや優しさが分かってきて、私もだんだん溶け込んでいきました。
 このように新人時代に苦労するということは、どの職場でも同じかもしれませんね。今、私の担当する店舗にも新入行員がいます。ミスは誰にでもあるので、それで「辞めたい」と思わずに乗り越えてほしいです。

理解があってこそ選んで来られた道
 私は、銀行員ではない男性と結婚しました。当時はまだ、女性は結婚=退職というのが主流の時代でしたが、仕事を続けるという選択肢はいつも自分の中にありました。
結婚を機に、青森市内に自宅を建てることになり、西北五地域から青森市内へ、異動を希望しました。希望通り、新城支店に勤務することになりましたが、それが叶ったのは、銀行と上司の理解があったからだと思います。
 ただ、自宅完成と異動のタイミングが合わず、約1か月は当時住んでいた旧蟹田町から新城まで通勤することになりました。その時は、夫の母が、朝にはお弁当を作り、帰ればご飯とお風呂を用意してくれていました。私は仕事に専念することができ、理解のある家族に助けてもらったことにも、とても感謝しています。
 夫は朝が早い仕事で、早ければ夜明けの4時前に出勤することもあります。朝、私が何もしなくても、全部自分でやってくれます。掃除していない、洗濯をためている、茶碗を洗っていない、というようなことを夫から言われたことはなく、家事をしてほしいと私が夫に言ったこともありません。私には子どもがいないため、育児にかかる時間はありません。お子さんがいて働いている方は当店にもいますが、よくやっているなと、本当に感心します。私自身のこれまでの経験も含め、仕事を続けていくには、やはり家族の協力は重要だと思います。
 また、周囲の理解という意味では、新城支店から筒井支店への異動も、重要なターニングポイントでした。当時筒井支店は個人のお客さま専門店として業務を新たに始めることが決まっていました。私は「個人を対象にゆっくり専用ブースで話をしながら対応するような仕事がしたい」と以前から希望していたので、「銀行は職員一人ひとりの意思をしっかり見ているんだな」と思いました。

学びの対象に年齢はない
 筒井支店では、10歳若い女性と一緒に働き、彼女からとても多くのことを学びました。自分より目上の人から学ぶ機会は多く、また、ある程度役職が付いた立場になると、部下から「私はこうだと思います」と言われることも少なくなると思います。しかし、彼女は若いなりにしっかりとした考えを持ち、自分の意見を発信できていました。この時初めて年齢も役職も関係なく、学ぶことができるのだと実感しました。

チームをまとめる立場になって
 私はこれまで、周囲の人間関係にも恵まれ、自分の思いを実現することができましたが、やはりチームで動くということは難しく、自分で考えて自分で動いた方が楽だと思います。けれど、あえて部下にもやってもらわなければいけないという立場ですので、それぞれの性格を把握して、指導の仕方や今後の方針を考えていかなければなりません。現在担当する店舗では、正行員だけでなくパートさんやシニアまで、私を含めて18名が勤務しています。そこで工夫している点といえば、必ず会話をすることです。すれ違った時に「お昼食べた?」「今日外出するの?」など、話しかけるようにしています。
 また、「参観日に行きたい」「運動会がある」「この日は子どもといたい」という休暇の申請は基本的に承認します。もちろん、お子さんがいてもいなくても同じです。「働いている全員で協力し合い、誰かが代行できる体制にしよう」と常に話しています。時代も変わってきているので、仕事だけではなくプライベートも充実させてほしいし、自分もそうありたいと思っています。

支店長になるきっかけ
 支店長を意識したのは、本当に受動的でした。青森南支店の窓口サービス課長だった時に、急遽マネジメントの研修に参加することになり、数回に及ぶ研修が終わる頃、私に支店長の発令がありました。その時、何でも気さくに相談できる課長2人に、「実は支店長の話があって。どうすればいいいと思う?」と意見を聞いてみました。1人には「まだちょっと早いんじゃない?」と言われ、「確かにそうだよな、無理だよな」と思いました。しかし、もう1人に、「やってみればいいじゃん。命取られるわけじゃないんだよ。だめならだめってお手上げすればいいだけでしょう」と言われ、「やってみればいい」という言葉に、素直に「そうか」と思い、チャレンジしてみようという気持ちになりました。安易で単純かもしれませんが、応援してくれる人がいるなら、やってみよう!と思ったこと、それがきっかけです。私は本当に人に恵まれ、人に助けられてきたと思います。

今後の目標

肩書は支店長でも
 私を含めて、メンバー全員が仕事とプライベート両方を充実させるため、支店長として、常に皆さんにとって働きがいのある、働きやすい職場にすることを心がけています。肩書が支店長であっても、雲の上ではなく何でも相談しやすく一緒になって取り組む時は取り組む、そんな存在でいたいといつも思います。

発信の重要性
 私は以前堂々と「役員になりたい」と言っていました。出世欲があるという意味ではなく、役員になれば何か変えることが出来るかもしれないという、そんな思いだけの「なりたい」でした。しかし、こうしたい、こうなりたいということを口に出して周りに発信することで自分のモチベーションを上げてこられたと思います。

これからチャレンジする女性へメッセージ

置かれている立場を理解し、周りと協力を
 「人生100年」と言われるようになりましたが、100年と大枠で考えるのではなく、「今○○歳だから、あと何年で何をする」「○年後、自分はこうなりたい」といった計画や目標を持ってほしいです。自分自身が置かれている立場をきちんと理解し、周りと協力しながら、自身が目指す生き方・働き方に前向きにチャレンジし、キャリアを切り開いていってほしいと思います。
これからは人それぞれ、さまざまな働き方があると思います。ワーク・ライフ・バランスをしっかり考えつつ、家族、職場の仲間、友人、また、お客さまも含め、人とのつながりを大切にして働いていけば、きっとたくさんのことを得られると思います。
(令和2年2 月取材)

【プロフィール】
青森県板柳町出身。専門学校卒業後、平成4年に株式会社みちのく銀行へ入行。7ヶ店の営業店を経験した後、本部勤務も経て、2019年10月からは3店舗の支店長を兼務。勤続年数27年。

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