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青森県女性ロールモデル 事例2【中村 亜希子さん】

時代は追い風、肩の力を抜いてチャンスを逃さないで

分野: 就業・キャリアアップ

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新産レミコン 株式会社
 中村 亜希子さん(十和田市)

 

チャレンジのきっかけは?

進学をあきらめ、地元企業に就職したことは運命?!
 35年前、高校を卒業したら、手に職をつけたいと思い、上の学校へ進学することを望んでいました。しかし、家庭の事情で急遽、家を継がなくてはいけなくなり、地元就職を余儀なくされました。もともと書くことは好きだったので、当時事務職を募集していた、十和田市の総合建設業(株)福萬組に運よく就職することができました。家を継ぐことも運命と思い、それほど悔しい思いをしなかったように思います。そして、このきっかけこそが今の私の仕事となり、生活の基盤になりました。

チャレンジのみちのり

事務職30年、タイプライターから1人1台パソコンの時代に
 入社2年目に新産レミコン(株)に出向することになり、こちらの会社に来て、3年目にまた(株)福萬組に戻りました。その3年後再び新産レミコン(株)に出向となりました。とにかくグループ会社を回っていろいろな仕事も人も覚えるという毎日でした。会社によって仕事内容も全く違うので、その時その時必要なことを学びました。
 入社当時は、親以上に叱られる事もありましたが、それ以上に褒められることもあり、叱咤激励の毎日だったように思います。考えてみると、それが今の自分の礎になったのではないかと思っています。平成9年に復職してから約20年、通算したら30年事務の仕事をさせていただいています。主に会社の総務・経理を担い、契約書等の発行や支払い、給与計算等、社員の人事など多岐にわたります。
 入社した当時は、手書きが主流で、今のように事務の主流がパソコンを使うものでなかったので、事務員が多くいました。女性の先輩も5~6人いて、総勢10人くらいはいたと思います。図面は青焼き、契約書等はタイプライターで作成、給与は現金支給もあった時代で、多くの労力と手作業が必要でした。それから、ワープロ、パソコンへと変わってきて、今は1人1台パソコンを操作するようになり、時代は随分と変わりました。
長い事務職の年月を経て事務機器の歴史や進化をふりかえると、とても楽しいですね。

育児、介護との両立
 私には子どもが3人います。今はもう3人とも成人して自立していますが、子育てをしながら仕事を続けるのは本当に大変で、時間との闘いやら、心の葛藤で、帰りの車の中で涙ぐんだ時もありました。
 今も子育てをしながら働いている人たちを見ると「本当によく頑張っている!」と心から応援したくなります。法律的にも社内の制度的にも今は整えられてきていますので、それをうまく活用し、体力的にも精神的にも安心して働いてほしいと思います。3番目の子どもが自立した矢先、今度は親の介護が始まりました。介護は、仕事を辞めなければならなくなるといった度合のものではなかったので、休みをいただきながら、病院に付き添ったりできました。
 社長からは快く「家族のことはいつでも休んで行ってきなさい」と言葉をもらったことに本当に感謝しています。

子育て真っ最中に課長職は突然に・・・
 実は子育て真っ最中の頃に課長職をいただきました。それは平成16年、38歳の時で、子どもの年齢が、上から16歳、10歳、7歳の頃でした。
 課長になりたての頃は、課長に見合う仕事をしないといけないと、気持ちは焦るのですが、子育て中のために結局は休みが多かったり、人に頼まざるを得なかったりと、周りの人は快く引き受けてくれるのですが、迷惑をかけている皆に申し訳ない気持ちと、悔しい気持ちが入り組んでいました。同じ部署の人たちに、そこは理解してもらいながらやってこられたと思っています。
子育ても介護も落ち着いた今こそ、まさに現在子育て真っ只中にいる社員の代わりが務まるようになりたいと思っています。

 

現在の活動状況や今後の目標など

在職中に新プラントの建設に2度も立ち合える喜び
 総務、経理の仕事は現場と違って華やかでなく、地味な部署です。しかし、お金を扱う大事な仕事をしています。守秘義務はもちろん、迅速かつ正確な業務が求められます。会社の信用の元、日々の業務ができていることを自覚しなくてはなりません。事務職を担当する皆さんと同じ気持ちを共有したいと思っています。
 現在、弊社では、製造のための新プラントを建て替えにより建設中ですが、私は25年前に現在のプラントの建設にも携わっていて、在職中に2度もプラント建設に立ち会えたことに感動しています。壊されていくプラントを見るときは寂しさを感じましたが、新たな設備に期待を寄せる気持ちを、社長はじめ、社員一同で共有できることに喜びを感じます。
総務課長として、この建設に関わる仕事を、次のプラント建設の時にも役立てるようにしっかり努め、残したいと思います。

職場の働き方改革に向けて
 現在の目標としては、総務課及び事業所内の就業時間の有効な働き方改革を考えています。
さまざまな学習会や講演会などにも参加して、私自身の今までの課長としての仕事のあり方を見直す機会にもなりました。講演会で印象に残っているのは、「仕事は終わるまでやるのでなく、『何時までやる』と決めて終わらせる」という講師の事例でした。
 昔は夜遅くまで仕事をしていましたが、もうそういう時代ではないという事を身に染みて感じました。それに伴い、限られた大切な時間の有効な使い方の根本的な見直しを図っていきたいと考えています。総務や経理の仕事は会社の利益を産む部署ではないので、尚更です。
 ただ、こういう考えや取組を他の社員に押し付けるのではなく、皆で考え、意見を出し合うのが望ましいと考えます。自分たちがやっている仕事は自分の仕事ではなく、会社全体の仕事ですから。
職場で男の仕事、女の仕事というのは意識していませんが、それぞれにできないことはお互いに助け合い、自分でやれるところは最大限やるということで男女のバランスが取れるのではないでしょうか。それと、個人的な今年の目標は「聞き方改革」と、「話し方改革」ですね。言葉には魂が宿ります。特に管理職となると、言葉一つ一つが責任重大です。一緒に働いている人たちとも、その時その時で話し合える、そして話しやすい職場の雰囲気をつくっていきたいですね。

建設現場を明るく快適な場所に導く福萬レディースピカピカ隊のパトロール
 (株)福萬組の副社長が女性であり、グループ会社の中にも土木女子、ダンプの運転手、そして、我が社にも女性のミキサー車運転手がいます。
「あおもり女性建設技術者ネットワーク会議」の会長を務める女性職員もいます。副社長の元、女性職員たちが生き生きと自身をもって働かせてくれる環境が我が社にはあります。その中で、福島副社長をリーダーとする「福萬レディースの会」(平成26年発足・総勢20名)があり、現在、このメンバーで、建設の各現場をパトロールする「ピカピカ隊」を結成し、事務職、技術職、現場職の女性職員たちが、毎月1回以上現場の視察を行っています。
 私は事務職なので、建設会社に勤めているものの、このピカピカ隊のパトロールに参加するまでは建設現場に出たことがありませんでした。私が参加した時には、現場の清潔さや職員の挨拶などに注目しました。
ピカピカ隊はそれぞれの職種の視点から、会社のモットーである「笑顔」を届けながら、現場の仕事の評価をしています。はじめの頃は現場でもピカピカ隊のパトロールが来るとわかると一生懸命事務所やトイレの掃除をしたりしていたようです。今はもう定着しているようですが、清潔面でも、明るい職場づくりの面でもとてもいいことだと思います。
建設現場の男性たちは、女性がパトロールに行くと、「いい緊張感」があり、格好いいところを見せようと張り切っているようにも見えます。社内交流やコミュニケーションの場にもなっていますね。各部署だけに留まるのではなく、会社全体に視野が広がるのは大事なことだと思います。
このことは総務の仕事にも生かせる部分があると感じています。

会社の外にもつながりを持ち、これからの経営に生かす「上十三法人会女性部」での交流
 総務課長として職場内だけではなく、上十三地区の企業経営をしている女性や働いている女性などが参加する上十三法人会女性部にも所属させていただいています。この会では会員の交流をはじめ、子どもたちに税金の大切さを伝える授業などを行っています。
 微力ながらお手伝いさせていただいていますが、さまざまな業種の方々との交流できるとても大切な場になっています。勤務時間内に活動することもあるので、社長はじめ職場の方々の配慮に感謝しつつ、活動を通じて自分のスキルを上げ、会社に貢献できるようにしたいと思っています。

これからチャレンジする女性へメッセージ

時代は追い風、肩の力を抜いてチャンスを逃さないで
 今、女性に対してさまざまな分野で活躍を期待する流れになっていますが、「女性は昔も今現在も、そしてこの先も絶えず一生懸命頑張って生きているのだということ」をまずは伝えたいです。子育てや介護をしながら働く女性も増えて、そうした女性の立場をわかってくれる時代になってきたことと、女性の活躍できる範囲や場所が広がってきた今こそ、逆に肩の力を抜いて、仕事をしてみてはいいのではないかと思います。そして、その流れの中からさまざまなチャンスやタイミングが見つかると思います。
 平成から新しい時代へと変わる今年、何かワクワクする気持ちになっています。男性も女性も、そしてAIが登場する時代に突入する今こそ、冷静に自分らしさを忘れないことが大事なことではないでしょうか。

(平成31年1月取材)

【プロフィール】
青森県おいらせ町出身。
高校卒業後、昭和58年に十和田市の総合建設業(株)福萬組に就職。昭和59年に新産レミコン(株)に出向。昭和60年に(株)福萬組、昭和63年に新産レミコン(株)に再出向。途中、結婚・出産のため2度の退職、復職を経て、平成16年から現職の総務課課長となる。

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