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青森県女性ロールモデル 事例1【日野口 幸恵さん】

「ぶれないで自分らしく」を信念として職場でもプライベートでも笑顔でいられるよう活躍してほしいと思います。

就業・キャリアアップ/専門職・研究職

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株式会社 福萬組
 日野口 幸恵さん(十和田市)


 

チャレンジのきっかけは?

★建築科の新卒だった私が積算専門部署の第一人者に
私は、工業高校の建築科出身で、先生の推薦を受け、(株)福萬組に就職しました。
在学中は主に住宅等の設計図面を学んでいたので、病院や学校、商業施設など大きな建物の図面を見るのは衝撃的でした。しかも施工会社なので設計とはまた違う分野の仕事であり、社会に出て、ある意味ゼロからのスタートになりました。
入社してすぐ建築の積算業務を担当することになりました。積算とは物件を受注する前にその建物がいくらの予算でできるのか、設計図面から読み取り、見積もりをする仕事です。建設業で積算業務だけを切り離して行っているところは珍しいそうです。
当時は日中に現場監督の仕事を終えた男性職員が、夜本社に戻り、残業しながらみんなで手分けして、積算業務をしていました。
しかし、先代の副社長が「そのスタイルを改革すべき」と建築部内に積算専門の部署をつくることを提案し、そこへ建築科の新卒だった私が第一人者として採用されました。もちろん女性は私一人でした。積算専門の部署をつくったことは今でいう働き方改革の先端を行っていたのだと思います。

 

チャレンジのみちのり

★使命感に燃えていた独身期
建築科を卒業していたとはいえ、新しい部署での新しい業務のため、専属で教えてくれる人もいないので、薦められた積算基準の教材を読みあさり、1年間独学で積算の勉強をしました。
住宅はともかく商業施設や学校などの設計図面は見たことがなく、ましてや「積算?え?何?」という戸惑いと不安だらけでした。もちろん積算ソフト等もなく、積算用紙、電卓、三角スケール、ペンシルというアナログな手法でした。実践に入り、わからないことにぶつかると、ここぞとばかりに現場から帰ってきた先輩のところへ図面をかかえ聞きに行って、わからないことはどんどん聞いて仕事を覚えるという感じでした。
アナログな手法で仕事を覚えた次はITでの効率化を目指し積算ソフトの導入に力を入れることになりました。無数にあるソフトの中から我が社に合うものはどれなのか、数々のメーカーのデモンストレーションに行っては勉強し、導入後も不具合を見逃すことなくメーカーに修正をお願いしたり、時には改善点を提案しました。建築の工法も材料も時代によって変わるので、常に勉強です。
何度か、「女なんだから、施工会社じゃなく設計会社に行けばよかったんじゃないの」と言われたことがあり、そのたびに落ち込みましたが、女だからといって文句を言われないように、という使命感で奔走していました。

★結婚、出産、子育ての時期
私は自分のライフプランの中で、20代で子ども3人の出産を終えたいと思っていました。23歳で結婚して、予定どおり3人子どもを出産しました。しかし、ちょうど仕事も勢いを増した時期でもありました。一人目と二人目は産休後に復帰。三人目の時は家庭を優先するため、パートでの復職を前提に一旦退職しました。
ところが、復職したかと思うと、子どもが熱を出し、保育園からお迎えの連絡が来て早退。一人治ったかと思うと、兄弟に感染。そのたびに「すみません、早退します。休みます。」と言い続けた時期でした。
夫は家事も育児もとても協力的でしたが、職場が市外なので、保育園からの呼出には私しか対応できず、仕方がないとわかっていても男性職員のように第一線で戦力にならない自分が情けなく悔しい思いを何度もしました。「だから女性は・・・」と言われたくなくて、自宅に仕事を持ち帰ったり、家事が落ち着いてから会社に戻って仕事をこなしました。昼休みも買い出しや自宅に帰って夕飯の下ごしらえをするなど、そこは私自身の働き方改革で、何とかやりくりしました。
子どもができてから資格を取得するのは大変なことだからと父によく言われていたので、結婚前に2級建築士の資格を取得しておいていました。まさに父の言うとおりでした。1級建築施工管理技士と1級土木施工管理技士はその後子育てしながら取得しました。平日は子どもを寝かしつけてから夜勉強し、休日は子どもと公園に遊びに行くときにテキストとお弁当を持って行って、子どもたちを遊ばせながら敷物を敷いて勉強していました。
その時期は相当な意地で頑張っていたと思います。職場の大変さは家庭での生活で解消して、家庭の大変さは職場で解消して、バランスをとっているようなものでした。

 

チャレンジしてみて

★上司のありがたい一言を励みに
任された仕事にはどんな状況でもプライドを持ってやってきました。結婚、子育てをしながら仕事を両立できたのは、家族の協力はもちろんですが、常に私の側になって応援してくれた上司のおかげです。
自社の工事管理ソフトを立ち上げる大きな計画の時も半人前の私をメンバーに抜擢して頂き、おこがましくも共に仕事をさせて頂きました。親子程の年の差ですが、いつも口癖のように「我々は同志なんだ!」と言って力をくれ、その一言がありがたくて、期待に応えようと頑張ってこれた気がします。
今思うと、当時から、私にはイクボスがいたのです。

★大切なのはコミュニケーション。思いを言葉にすること
今、主任という立場で、職場の若い人たち、同僚、時には先輩でも自分からは言えない話しづらいこと、または皆に知らせたいと思う良いことなどを吸い上げるパイプ役を意識しています。
そのためには、誰とでもよく話をすることです。せっかく思っていても言葉にしないと何も変わらないと思うし、仕事もスムーズに進まないと感じています。
夫ともよくコミュニケーションをとっています。家族のことはもちろん、仕事のこと、上司や部下への接し方、人間関係のことなど今は相談し合っています。
私は働くことが好きでしたので結婚した時に専業主婦になる選択肢はありませんでしたが、自分の性格、家庭環境を考え、働く条件として「家庭が1番、仕事は2番」と優先順位を決めていました。だからと言って仕事を辞めるとか疎かにするという意味ではなく、働き続けるけれどワーク・ライフ・バランスを保ちたいという思いを家族にも上司にも伝えました。それが結果として、幾度となく壁にぶつかった時、一人で抱えることなく相談でき、前に進んでこられた理由だと思います。
また、女性社員により結成された「みんなの現場をピカピカ隊」では、月に1回現場をパトロールし、現場で働いている人との大切なコミュニケーションの一つとなっています。
今まで現場に行きたいなぁと思っていても行く機会がなかったのですが、目的ができて行きやすくなりました。
また、現場の事務所の環境整備として、観葉植物などを用意したり、事務所のレイアウトなども要望があればやっています。現場の男性職員たちも自分たちで芳香剤や飾りなども買ってきて、きれいな環境づくりをするようになりました。
2年前には、「あおもり女性建設技術者ネットワーク会議」の企画で、弊社をはじめ、建設業各社の女性職員で集まってそれぞれの現場を周るピカピカ隊合同パトロールを実施したことがありました。現場の男性職員たちも外部の人に工事の説明をすることになり、わかりやすく伝える話し方などを訓練する機会になったようです。
お客様対応が向上したのではないでしょうか。こうした取組で親睦も深まり、何より本社勤務の人と現場勤務の人との距離が縮まったような気がします。

★目指すは1級建築士、でもそれだけではない
仕事に必要な資格は、1発合格を目標に取得してきました。しかし、1級建築士の資格は実務経験をクリアし、やっと初受験という年に2人目を出産し、途中で挫折してしまいました。
子育ても落ちついた4年前、2度目の挑戦をしましたが途中で母が病気になり、それでもテキストをもって看病に通いましたが、受験日直前に亡くなり受験に行くことができませんでした。結局一度も受験しないまま終わりましたが、私が家事の合間をぬって猛勉強している姿を見ていた中高生の子どもたちには、かなりの影響力を与えたようで良かったと思います。
これからの人生後半のことを考えると、私にはいろいろな野望があります。何をしたら、自分が一番充実できて、どういう生き方をしたらいいのか、模索中です。
副社長からは会社として必要な資格だけではなく、料理やお菓子作りなど趣味を活かした資格をとって、「福萬カフェ」でも開いて、やってみたいことを楽しんで働けるようにしたらいいよと言っていただいたりして、ありがたいですね。

 

これからチャレンジする女性へメッセージ

★ぶれないで自分らしく
家庭を持つと想定外のことがたくさん起こります。そのような時は頑張りすぎずに、周りに頼ることも大切です。
私は、「自分らしく堂々とやっていこう」という気持ちを今までずっと持ち続けています。それが理解されなければ、いつ辞めてもいいという思いでやってきました。そう思うことが、責任を持ち、頑張ってやっていくことにつながったと思っています。
最近は、世の中が、働く女性の環境改善やワーク・ライフ・バランスを見直す時代になっているので、その流れを大いに活用し、「ぶれないで自分らしく」を信念として職場でもプライベートでも笑顔でいられるよう活躍してほしいと思います。

(平成31年1月取材)

【プロフィール】
青森県十和田市出身。
高校卒業後、平成元年に十和田市の総合建設業(株)福萬組に就職。積算業務に携わる。平成28年から建築部主任。平成6年に2級建築士取得、平成14年に1級建築施工管理技士、平成16年に1級土木施行管理技士取得。

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