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青森県女性ロールモデル 事例8【三上 友子さん】

仕事と余暇・活動のバランスをとりながら、
楽しいと思うことをやりましょう

分野: 起業

株式会社I・M・S
 三上 友子さん(弘前市)

チャレンジのきっかけは?

時代が求めるニーズと責任者の立場にやりがい
高校卒業後、呉服店や医療事務などの勤務を経て、カルチャースクールを展開していたブラザー販売株式会社に入社し、弘前市内で運営していたパソコンスクールで受付事務員として働き始めました。当時は、教育訓練給付金制度を活用して、パソコンを習いたい人が多かったので、説明会の予約は常に埋まっていました。職業訓練講師としてパソコン操作を説明する時には「時代が求めていることを提供している」と感じられ、やりがいを感じました。その後、入社後3か月で室長に抜擢され、営業成績もよく、自分に裁量が多い責任ある立場で、充実した日々を過ごしていました。

☆退職翌日に起業
ところが2年ほど経った時、本社の方針で、全国一斉にカルチャースクールを閉鎖することが決まりました。弘前校は利益も出していたのに、なくなってしまうのは本当に残念だと思いました。また、職業訓練などの仕事をいただいていた相手方から「ブラザーのカルチャースクールがなると非常に困る」という声をいただいたので、「もし独立したら、この仕事を今後も続けさせていただけるのでしょうか?」と相談したところ、「可能性は十分にある」と言われたので、起業に関して勉強し、後のことを考えず退職の翌日に「有限会社I・M・S」(後に商号を「株式会社I・M・S」に変更)を起業しました。

☆就活ではなく、起業にこだわった理由
勤務先がなくなる時に、就活しようという気持ちは全くありませんでした。なぜなら、これまで自分に裁量が多くある管理職を経験し、自分の力で利益を出した自負とプライドがあったので、また一から全く知らない人の下で働くというのは想像できなかったからです。しかし、自分の周りで、同じくらいの年齢で、ましてや女性で起業した人はいませんでした。そんな中起業できたのは、若くて怖さを知らなかったからだと思います。

チャレンジのみちのり

☆職業訓練とパソコン技術の提供に撤していた創業期
開業時には、弘前市内で職業訓練と個人向けのパソコンスクールを社員3名とアルバイト数名で始めました。職業訓練の受託は、「可能性は十分ある」と言っていただけましたが、翌年も同じようにあるとは限らないので、受託した仕事をしっかりやって、1年ごとに結果を出して、継続に至っています。個人のお客様は、以前の教室から引き続き来てくれた方のほか、新規で多くの方々を紹介していただき、とても楽しいと感じながら運営させていただきました。
開業から5年ほど経って、リーマンショックの不況により、派遣切りなどが増加し、雇用保険の受給資格がない人の離職が問題化しました。そうした離職者を支援する訓練機会が多く求められるようになり、当社もその必要に応じて、黒石、五所川原、函館、大館と職業訓練施設を増やし、従業員も30名ほどに増やしました。

☆キャリアコンサルタントの育成を手掛けるように
また、個人のお客様がパソコンスクールに通う理由として、キャリアアップや転職を目標にしていることもわかりました。当初は、パソコンの技術を教えることにとどまっていましたが、就職のノウハウも併せて提供できればいいなと思い、その際必要となるのがキャリアコンサルタントの知識と資格です。人にアドバイスするとなると、自分の経験だけでものを言うのは無責任、失礼だと思い、2014年からはキャリアコンサルタントの育成に力を入れ始めました。

☆能力開発は早いうちにという想いが事業拡大につながった
職業訓練で求職者と話していると、「これまで自己啓発や資格取得の機会がなかった」と話す人が多くいました。これまで「スキルアップは自己責任で行うもの」と気づく機会がなかったためにこのような発言につながるのだと思い、早い段階でその必要性を訴えなければならないと思いました。その後、ジョブカフェあおもり(青森県若年者就業支援センター)のカウンセリング部門の運営を受託する機会をいただき、県内全域の高校生や若年層に能力開発の必要性やキャリアについて話をする機会が増え、就活のサポートをさせていただけるようになりました。
また、45歳以上を対象にしたネクストキャリアセンターあおもりや若年層を対象にしたあおもり若者サポートステーションの運営も担い、各種就職情報の提供や再就職支援セミナーの開催などを通じて、就業支援を行っています。そこでもキャリアコンサルタントという専門性やスキルが大事で、会社として改めてその育成に力を入れていきました。キャリアコンサルタントの有資格者を増やしつつ、新たにできる事業を増やしていきました。

☆イクボス、働き方改革は日々のあたりまえのこと
数年前に、青森県が行っている「あおもりイクボス宣言企業」の登録と「あおもり働き方改革推進企業」の認証を取得しました。実は、そういう制度があることを知って内容を見たら、今まで会社でやってきたことと同じ趣旨だったので、すぐに手続きをしました。会社の代表として、社員の人生まで私に責任があるのだなと最近つくづく思うようになりました。
社員は、利用者思いの人たちばかりだと感じています。就職支援をするための資格取得には、自分の努力とお金と時間をかけて一生懸命やっている人ばかりなので、本当に素晴らしいと思います。社員には、人生の大部分の時間をこの会社で過ごすことになるので、楽しんで仕事をしてほしいと願っています。面白くないと仕事も続かないので、ワーク・ライフ・バランスを大切にしながら頑張ってほしいと思っています。
今年4月に株式会社I・M・Sは設立15周年を迎えました。時代とともに社員の雇用体制や実態に合った就業規則の変更など、内部のさまざまな整備に取り掛かりたいと思っています。

チャレンジしてみて

☆大変だったことも次へのステップに
実は、起業してから6年目に大怪我を負い、半年近く職場を離れていたことがありましたが、職場に復帰して経理の状況を見て愕然としました。経費の管理は私一人がやっていて、他の人に任せていませんでした。そのため、他の社員は売上を伸ばすことやその管理はできても、抑えるべき経費を抑えていないという状況でした。やはり、代表者が一人だけ把握しているのではなく、社員に満遍なく仕事を任せて覚えてもらうことが大事だと痛感しました。
また、若い社員が一気に増えた時に、先輩社員や私たちに人材育成の知識がなかったために、人間関係が原因で辞めていく社員が出てきました。新しく入る社員は入社数年後の社員や中間層の働く姿勢を倣っていくと思うので、見本となる層の社員の育成が急務でした。わからないことを教えるときには、できる人、できない人もいるという前提で、その人のスキルや理解度に合わせて、伝えるということが必要です。上に立つ人も「これを言ったら嫌われるかも」と思いがちですが、言わないと成長につながらないこともあります。会社は仲良し会ではないので、厳しく言える人の存在が重要で、業績にも影響してきます。要は、日々のコミュニケーションが大事で、良いことも悪いことも話し合って、互いに理解を深めて、円滑に仕事を進めていければと思います。
入社後数年経過した社員の「声の大きさが変わった」、「発言が多くなってきた」ということに接すると、自分に自信を持てて仕事に張りが出てきているのだと感じます。利用者から感謝を伝えられたり、就職が決まって共に喜んだり、それぞれが成長する場面に出会えるのが嬉しいですね。

☆女性の起業を応援したい
現在、キャリアに係る仕事のノウハウが蓄積できてきたと感じています。また、社員一人ひとりの専門性が高まってきていること、そして仕事に着実に取り組むことで、会社は強くなっているとも感じています。できることを着実にやっていくことで、またそこから広がる可能性もあると考えています。
今後は女性の起業の支援をしていきたいと考えています。そこで、秋田や仙台を拠点に女性の起業支援をしている団体「Venus Club」の青森支部を昨年立ち上げました。「つながる・広がる・楽しめる!」をコンセプトに、ともに成長し合う仲間が集い、お互いが刺激し合いながら、地域に新しい風を吹き込むきっかけをつくろうという趣旨で設立した会です。主に起業を目指す女性たちの交流や勉強の場になっています。
私自身が起業をしてみて、商工会などの会合に行くと、周りは男性の経営者ばかりで女性の私はそこに居づらい、心細いという思いを感じていました。青森県内の他の女性の起業家の皆さんにはそういう思いをしてほしくなくて、大掛かりな取組はできなくても、「ここに仲間がいるよ」というメッセージを込めた団体にしたいと思い、さまざまな取組をしています。起業に関することだけでなく、「何かやりたい」と思っている人たちが集まってくれれば嬉しいと思います。

☆出会いと学びを活かしてつながる
私はシングルマザーとして自身の子育てに奮闘しながら、NPO法人マザーフィールドの理事や弘前市母子寡婦福祉会の副会長として、ひとり親家庭の子育てと仕事の両立支援などの活動もしています。今後は、学童用品のシェアなどの仕組みをつくっていけたらと思っています。
今、娘は小学1年生になり、新型コロナウイルスの感染予防で休校のため、自宅に一緒にいる時間が大幅に増えました。これまでは保育園や姉などに子育てを頼っていましたが、初めて娘と二人で長時間過ごしています。昨年、自宅を新築し、仕事部屋もできたので、娘を見ながら仕事ができる環境を整えてよかったと思います。
また、今回の在宅勤務を機に時短家事の勉強も始めました。オンライン講座を受けていて、今後は私も働くお母さんたちにこの時短家事を伝えていきたいと考えています。そのほか、子育て中の「イライラ」を解消するためのアンガーマネジメントや、仕事と育児の両立に悩んでいる人にアドバイスをする育休後アドバイザーなどの資格の勉強も始めました。こうした学びは自分のためにもなりますが、社員をはじめ働く女性の皆さんにとっても必要な知識だと思っています。女性の活躍を進めるためにも、自分が学んだことを働く女性の皆さんに還元させていく風土をつくっていきたいと思います。
最近、人との出会いが本当に楽しいと感じるようになりました。若いころだったら億劫だと思っていたことも、今は楽しいし、大事にしようと思っています。

これからチャレンジする女性へメッセージ

☆楽しいと思うことをやりましょう
何でも楽しめないと続かないので、「楽しいと思うことをやりましょう」と伝えたいです。仕事と余暇・活動のバランスをとりながら、一辺倒ではなく面白いと思うことを適宜取り入れて、笑って過ごせるような何かを日々見つけていけば、楽しい人生になると思います。それが一番大切だと思っています。
(令和2年5月取材)

【プロフィール】
青森県弘前市出身。2005年に有限会社I・M・S(後に商号を「株式会社I・M・S」に変更)を設立し、代表取締役に就任。そのほか、一般社団法人ひろさきキャリア形成支援協会代表理事を務める。社会的活動として、NPO法人マザーフィールド理事、Venus Club青森支部代表、弘前市母子寡婦福祉会副会長などを務めている。

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