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平成17年度 青森県内企業における男女共同参画実態調査

委託先:青森市男女共同参画社会づくりをすすめる会

調査実施概要

1 調査の目的

 この調査は、県内企業における男女共同参画の実態を把握し、県内の男女共同参画の推進、県が取り組んでいる「男女共同参画による新しい価値の創造の推進」をどのように進めればよいのかを考えるために実施する。

2 調査の設計

(1)調査の対象
 県内1,000社(県内資本の企業)
(2)抽出方法
 『東奥年鑑』をもとに、従業員数、業種を考慮の後、無作為抽出
(3)調査の実施方法
 質問紙調査法(郵送法)
(4)調査の対象期日
 平成17年10月1日現在
 ただし、育児・介護休業の取得者人数については、平成16年4月1日から平成17年3月31日まで
(5)調査の実施期間
 平成17年10月15日から平成17年11月5日まで
(6)調査主体
 青森県男女共同参画センター
 青森市男女共同参画社会づくりをすすめる会 調査研究プロジェクトチーム

3 回収状況と結果

調査の対象 有効回収数 有効回収率
1,000件 305件 30.5%

4 調査項目

第1章 会社の概要について
第2章 全般について
第3章 育児・介護休業法について
第4章 次世代育成支援対策推進法について
第5章 女性のチャレンジ支援について
第6章 セクシャルハラスメント防止について
第7章 その他

調査結果の概要

第1章 会社の概要について

目的

 調査対象の会社の概要を知るために、(1)所在地、(2)設立年、(3)業種、(4)経営者、(5)従業員数、(6)35歳前後の男女正規社員の平均年収、(7)管理職についてたずねた。

結果

(1)所在地は市部にあるものが約8割で、その中でも青森市と八戸市の2市で約5割に近かった。
(2)設立年では1970年代と1980年代がほぼ同数で、全体の約4割になった。
(3)業種で一番多いのは建設業で約30%、次に卸売・小売業、サービス業、製造業、運輸業が10%台で続いた。
(4)経営者については男性が多く、女性は4.3%しかいなかった。男性経営者では50代が一番多く約4割を占め、次に60代の約3割であった。男女共に20代の経営者はいなかった。
(5)従業員について、正規社員1~29人の会社が3分の1以上になり、99人以下の会社が9割近くを占めた。正規社員の男女別比率では男性が約8割、女性が約2割であるが、パート・アルバイトでは男性が約2割、女性が約8割と比率が逆転している。契約・派遣社員では、男性は約6割、女性は約4割であった。
(6)35歳前後の男性正規社員の平均年収は約328万円、女性正規社員の平均年収は約251万円であった。女性の平均年収は男性の76.5%しかなかった。
(7)管理職についてみると、女性の割合は係長相当職では約11%、課長相当職では約6%、部長相当職では約3%と昇格するごとに少なくなることがわかった。しかし、役員では約16%もいた。これは同族会社において、女性が役員に就任しているためと思われる。
 年齢別にみると、係長相当職では男性は40代、女性は30代が一番多く、課長相当職では男女共に40代が多かった。部長相当職では男性は50代、女性は40代が一番多く、役員は男女共に50代が最も多かった。

課題

 1985年の男女雇用機会均等法施行から約20年。雇用の分野における男女均等な機会と待遇の確保は男女共同参画の柱となっているが、果たして改善されただろうか。
 賃金において、本調査では35歳前後の男女の平均年収は全国調査より低く、さらに女性の年収は男性の76.5%しかないことがわかった。青森県では賃金の低さが県民の意識調査でも指摘され、低賃金の改善は長年の念願になっており、早急な解決策が待たれる。
 女性の昇格について、本調査においては係長相当職では10.6%、部長相当職になると2.9%しかいない実態が浮き彫りになった。国家公務員における一般管理職は1.4%だという。政府はポジティブ・アクションの推進を掲げているが、その成果は現状では見えていないといえる。
 青森県民は職場の男女共同参画についてどのように考えているのだろうか。「青森県の意識に関する調査」では、「職場や家庭における男女共同参画」を約6割の人が「とても重要である」「重要である」と回答している。そして「県次世代育成支援対策推進協議会」は「職場や家庭における男女共同参画が図られていると思う人の割合」が2003年の18.2%から05年度は16.9%とさらに下がったと報告している。なかなか進まない男女共同参画にいらだっている県民の姿が浮かんでくる。
 行政施策の一層の推進が期待されるとともに、民間の力も必要とされている。解決策としてNPOの活用も考えられる。県民が男女共同参画を望んでいる現実を踏まえ、行政は力のあるNPOの創出を促し、県民はすべて行政頼みから脱却し自ら実施すべきことを洗い出すことが求められている。

第2章 全般について

目的

 本調査では、「育児・介護休業法について」、「次世代育成支援対策推進法について」、「女性のチャレンジ支援について」、「セクシャルハラスメント防止について」の項目を挙げ、国の法や制度に照らし合わせながら、男女共同参画の推進の実態を調査することとした。「全般」では、それらの法や制度には含まれないが女性の就業環境をみるために有効と思われる質問を対象とする。昇給・昇格、女性だけが行う慣行や制度、女性の採用・登用にあたっての問題点、この3つについて調査した。

結果

 昇給・昇格については、大卒標準労働者(大学卒業後、直ちに企業に入社し、同一企業に継続して勤務している労働者)の括りでたずねたところ、「対象となる女性(男性)がいないので比較できな
い」が145社(47.5%)あった。そのうち、男性正規社員がいない会社は5社であったが、女性正規社員がいない会社は19社と多かった。「女性の方が男性よりはやく昇給・昇格する者が多い」会社はなく、「男性の方が女性よりはやく昇給・昇格する者が多い」会社は14.8%だった。このように昇給・昇格における男性優位が見て取れるが、「男女とも変わらない」の回答が27.5%であった。
 女性だけが行う慣行や制度については、「職員又は来客に対するお茶出し」で「はい」が「いいえ」を上回った。「職員又は来客に対するお茶出し」(はい48.5%)「職場内の清掃」(はい20.7%)「補助的な仕事だけをする」(5.6%)の理由では、慣行・慣習・慣例・習慣という表現が目立ち、「女性の方が好印象」「女性の方がよく気がつく」「女性の方が手早い」「世間一般的にそうなっている」という記述が多かった。お茶出しについては「女性の方がおいしそう」「男性のお茶出しには抵抗感がある」「女性の仕事」という記述も見られた。「結婚退職又は出産退職」は「はい」が5.2%と少なく、その理由は「本人の意思で」が4分の3を占めたが、「自主的に退職の風潮がある」と書いた会社もあった。
 女性の採用や登用に関しての問題点は、「家事・育児・介護等を考慮する必要がある」がトップで、305社中229社、実に75.1%の回答を得た。次に「時間外労働や深夜業をさせにくい」(47.9%)、「女性の勤務年数が平均的に短い」(35.4%)、「女性の職業意識が低い」(31.1%)と続いた。他の4つの選択肢は最も多いもので13.8%(中間管理職の男性や同僚の男性の認識・理解が不十分である)で、あとは1割に満たなかった。

課題

 大卒女子の採用は大卒男子よりも不利であり、昇給・昇格も女性は厳しいといえる。この格差を生み出しているものは、ジェンダー意識と無関係ではないと思われる。
 「なんとなく」「今までの習慣で」「女性の方が気がっく」「責任度も違う」(「」内は回答の記述より抜粋)から女性がお茶を出し、掃除をし、女性にふさわしい補助的な仕事に携わっているということのようだ。女性の仕事は家事と女性性の延長線上にある。補助的な仕事では何年勤めても昇格はないだろう。また、家事・育児・介護等についての考慮は男性も対象になってきているが、大半の会社はそれらを女性の役割としているところから、女性の採用・登用に関してのみ家事・育児・介護が問題となるのではないか。育児休業・介護休業を男性が容易に取れるようになれば、この選択肢を選ぶ割合はこうも高くならないだろう。女性自身が選んでいるように見える結婚退職・出産退職も、退職をしなければならない「風潮」によって選ばされていると言えなくもない。「住宅手当・扶養手当の支給は女性にはない」と記述した会社もあり、女性の労働が家計の補助的な役割から未だ抜け出ていないことを感じさせる。
 「女性の職業意識が低い」と3社に1社が答えているが、職業意識が家庭や地域を省みないことと同義語でないことを願う。男性も女性も、職域にも家庭にも地域にも関われる社会が求められている。なお、女性の活用については、良いモデルの情報が女性白身にも会社にも有効だろう。

第3章 育児・介護休業法について

目的

 育児・介護休業法は男女労働者がともに育児・介護に参加し、仕事と家庭を両立させることで働き続けることができることを目的に施行された。ここでは、育児・介護休業の規定が県内企業でどこまで進んでいるか、規定が「ある」会社と「ない」会社の実態について調査した。

結果

 休業規定が「ある」会社が育児休業では8割、介護休業で7割強であった。正規社員の育児休業は男性8割強、女性9割強、介護休業では男女とも9割を超えていた。しかし、規定が「ある」会社でも、非正規社員となると育児休業・介護休業とも3割強にとどまった。
 休業日数は育児休業12ヶ月、介護休業3ヶ月が一番多かった。育児休業は正規社員で12ヶ月が男女とも4割強で、介護休業でも3ヶ月が男女とも6割を超えた。しかしここでも、非正規社員では男女とも育児休業で12ヶ月を規定している会社が2割に届かず、介護休業でも3ヶ月を規定している会社が3割に満たなかった。
 しかも、実際の取得者は育児休業でl0l人(男性1人、女性100人)、介護休業で12人(男性1人、女性11人)とごく限られた人数だけだった。
 一方、休業規定の「ない」会社は育児休業で23社・2割強、介護休業で48社・3割弱だった。ここで規定が「ない」理由は育児休業・介護休業とも同じく、「該当する社員がいない」、「事例がない」、「会社の規模が小さい」が多くを占めた。このアンケート結果からは「男女共同参画社会」は見えてこない。

課題

 この調査結果では、育児休業・介護休業の規定「ある」がそれぞれ8割から7割あったが、それが実効性のあるものになっていない現状が明らかとなった。
 平成16年度の取得者は育児休業・介護休業で男性の正規社員はそれぞれ1人、非正規社員ではそれぞれ1人もいなかった。女性では育児休業100人(正規社員95人、非正規社員5人)、介護休業11人(正規社員6人、非正規社員5人)だった。現在規定が「ある」会社のなかでも、非正規社員には休業規定が3割しかない。取得実績が非常に低いこととともに、非正規社員の実態は多くの問題を抱えている。
 特に労働法の場合は、企業の社会的責任を明らかにするとともに、事業主の努力義務となっているものを義務として制度化が必要なものもある。同時に一企業の責任とするだけでなく、国や県が、制度を実効性あるものにするために財政的支援を含む労働環境整備の具体的施策が求められる。
 2005年、日本は人口減少国となった。高齢化の進展のなかで、労働人口の確保が課題となり、厚生労働大臣諮問機関「労働政策審議会」(雇用機会均等分科会)は「産休取得不利益扱いの禁止」「間接差別の禁止」を初めて明記した「報告」(案)を取りまとめた。
 育児休業・介護休業が結果として労働人口増につながるとしても、この制度は「男女共同参画」の視点からスタートした施策である。しかし残念なことに、今回の「報告」(案)ではパート、臨時、派遣労働者の賃金・労働条件の改善などの規定は記載されなかった。
 内閣府発行の「少子化社会白書」では出生率が回復してきたスウェーデンの育児休業の取得率が、女性8割強、男性8割弱で日本の女性70.6%、男性0.56%(2004年調査)と比べて、特に男性において、はるかに高い水準にあると指摘している。また出生率が上昇に転じて「ベビーブーム」を迎えているフランスでは「週35時間労働法」(2000年施行)の「きわめて厚い家族給付」がある。これらの国の施策からは子育てを社会が支える姿が見えてくる。
 今回の調査から、現実を見つめ、超少子高齢社会に対応するためにも「男女共同参画」の視点を活かした取り組みが期待される。

第4章 次世代育成支援対策推進法について

目的

 急激な少子化の進行を踏まえて策定された「次世代育成支援対策推進法」に基づき、2005年4月1日以降、301人以上の従業員を雇用する事業主は「一般事業主行動計画」を策定し、その旨を都道府県労働局へ届ける義務、300人以下の従業員を雇用する事業主には努力義務が付与された。
 そこで青森県の企業において、どの程度行動計画が策定されているのか、策定していない場合はその理由、女性が仕事と家庭を両立するための支援の実施状況、これら3つについて調査した。

結果

 「行動計画」を策定している会社は全体の9.5%で、「策定していない」と答えた会社は86.9%であった。業種別に見ると、サービス業が一番多く7社で、続いて製造業(6社)、運輸業(5社)、建設業と卸売・小売業(各4社)、金融・保険業(2社)、飲食店・宿泊業(1社)の順になる。業種内で比較した場合は、金融・保険業の4割が従業員数にかかわりなく策定していた。一方、アンケートに答えた会社の3割近くを占める建設業では策定する会社が少ない結果となった。
 また、策定していない理由を記述した会社数は108社であり、「次世代法について知らない」が23.1%で一番多かった。次に「従業員数が300人以下だから」18.5%、「努力義務だから」16.7%で、全体の35.2%を占めている。一方「検討中」は10.2%であった。
 女性が仕事と家庭を両立するための支援として実施している項目を調べてみると、8項目中「補助金給付(例:出産祝い金等)」「子の看護のための休暇」「育児短時間勤務」の3項目に関して実施している会社は5割を超えているが、他の項目に関しては実施率が低く、業種問でも開きがあり、必要性が認知されていない結果となった。また、「出産退職後の再雇用」についての調査では、実施しているという会社は全体の35.4%であるが、問22(第5章 女性のチャレンジ支援)の結果からそれを制度として確立している会社は16.1%にとどまった。

課題

 行動計画を策定している会社は全体の1割にも満たなく、この制度自体が認知されていないことが伺える。
 業種間で比較した場合、金融・保険業の策定率が一番高かったのは、女性が多い職場であることも大きな要因であり、一方、一番回答数が多かった建設業において策定率が低いという結果は、女性の従業員が少ないことと関連していると思われる。子育ては決してすべて女性が担うべきことではなく、次世代法では、「子育てを行う労働者」として男性・女性を問わず、職業生活と家庭生活との両立支援を定めており、今後、周知していくことが重要だと考えられる。
 策定していない理由をたずねてみると、この法律を知らない会社が多く、法律が周知されていない結果が読み取れ、「努力義務」とは、やらなくても良いと理解する企業も多いことがわかった。「必要を感じない」と答えている会社もあり、仕事と家庭の両立支援がなぜ必要なのかも含めた会社への周知の徹底が課題となっている。また、今後は計画を策定した会社の計画達成度を把握して、努力している会社をPRすることも手立てとして考えられる。
 また、女性が仕事と家庭を両立するための支援について調査した結果によると、実施率が十分とは言えず業種間でも開きがあり、必要性が認知されていない結果となった。今後も出生率の低下で現役世代の税金や社会保障の負担がさらに重くなる現実を考慮すれば、子どもを産み、育てやすい労働環境づくりが最も重要だと考えられる。「出産退職後の再雇用」に関しては、実施している会社は全体で3割を超え、5割を超えている業種もあり、経験やスキルが会社にとって利益となることが少しずつ認知されてきている。今後は、退職しなくても良い労働環境の整備とともに、充実が望まれる制度だと考えられる。

第5章 女性のチャレンジ支援について

目的

 国では「女性のチャレンジ支援」を提言している。例えば、2020年までに指導的地位に占める女性の割合が少なくとも30%になることを目指すこと、従来女性の少なかった分野に新たな活躍の場を広げること、いったん仕事を中断した女性の再チャレンジなどを支援することが示された。
 そこで、ポジティブ・アクションについてと再雇用について現状をたずねた。さらに、措置や制度が「ある(検討中を含む)」場合の取り組み、「ない」場合の理由をたずねて、会社の具体的な取り組み内容について把握した。

結果

 ポジティブ・アクションの措置は「今もないし、検討する予定も当分はない」が63.O%、再雇用制度は「ない」が78.7%と、いずれも「ない」が高かった。
 ポジティブ・アクションが「ある」「今はないが、検討中である」と回答した会社の具体的な取り組みは、「女性がいない又は少ない役職について、意欲と能力のある女性を積極的に登用する」が最も多く(78.2%)、続いて「女性がいない又は少ない職務について、意欲と能力のある女性を積極的に採用する」(77.2%)だった。「女性がいない又は少ない」分野においては、僅かだが、採用よりも役職への登用が勝っている。「出産・育児・介護等でいったん仕事を中断した女性を積極的に採用する」も58.4%と高い数値を得た。しかし、「女性の管理職登用を増やすための具体的な計画や目標値を設定する」は32.7%の低さにとどまった。
 再雇用の場合は正規社員としての雇用が非正規社員としての雇用を僅かに上回っていた。しかし、「正規社員として再雇用はしていない」会社は24.5%あった。
 再雇用制度がない会社は、「ない」理由に、「女性の再就業の必要性は感じるが、社における優先度が低い」を45.8%が挙げている。また、「女性の再就業の必要性を感じない」を12.1%が挙げている。「その他」が38.3%と多く、57件の記述回答があった。その中では、「制度はないが、再雇用をしている。あるいはその予定」が20件で3分の1を占めた。「該当者がいなかった」(12件)と「希望者がいなかった」(3件)で、4分の1を占めた。会社の経営上の理由と思われる回答には「欠員補充で対応しているため再雇用枠を確保することは難しい」(7件)、「人件費の関係で新規採用が優先」(1件)があり、「男女とも退職した者の再雇用はしない」も6件あった。

課題

 ポジティブ・アクションの措置や再雇用制度の導入で女性のチャレンジ支援が図られているが、県内では知られていないようだ。「女性のチャレンジ支援」に対しては、「男女雇用機会均等」と言いながらなぜ女性のみへの支援をしなければならないのかという疑問が強いようである。行政や男女共同参画の活動をしている民間組織が、この「なぜ」に応えていくことが必要と思われる。ポジティブ・アクションの措置を講じた結果の参考例を折りに触れて取り上げていくことも効果的であるといえる。
 長引く不況の中で、「女性の再就業の必要性は感じるが、社における優先度が低い」「欠員補充で対応しているため再雇用枠を確保することは難しい」は多くの会社の本音であろう。しかし、国内においても女性の採用や登用で業績を延ばしている会社が数多くあることは事実である。「女性がいない又は少ない」分野での採用・登用が期待される。女性を採用するための就業環境の整備が負担であるという回答が第2章の全般、問10の回答で1割弱あった。しかし、意欲ある女性を採用・登用することは長期的にみてよい効果をもたらすものと思われる。ただし、女性の意欲を持続させるためには、男性と同レベルの教育訓練や昇給・昇格、結婚・出産等で退職せざるを得ない社内の風潮の打破が必要とされる。

第6章 セクシャルハラスメント防止について

目的

 本調査では、「セクシャルハラスメント防止対策」の取り組みについてたずね、防止対策をしている場合はその内容、防止対策をしていない場合はその理由にっいて回答を求めた。これにより、青森県の会社内におけるセクシャルハラスメント防止の現状と今後の課題を探ることとした。

結果

 「防止対策をしている」と答えた会社が63.0%であり、「していない」の35.4%を27.6ポイント上回った。
 年代別に見ると「している」と答えた会社の経営者は60代(72.4%)、50代(62.1%)、40代(53.7%)の順で、サンプル数は少ないものの30代は42.9%と半数を下回った。
 経営者の男女別意識の差は、女性のサンプル数が少ないことも影響していると思われるが、ほとんどみられなかった。
 業種毎の取り組み状況についてみると、サービス業(76.1%)運輸業(69.4%)卸売・小売業(64.2%)の順であり、製造業(60.0%)、建設業(52.3%)がこれに続いている。
 セクシャルハラスメント防止対策の内容については「従業員にセクシャルハラスメント防止について口頭で周知している」(82.8%)が他を25ポイント以上引き離した。また、「従業員にセクシャルハラスメント防止の研修を行っている」が(15.1%)と最も低く、セクシャルハラスメントに対する理解と意識の啓発をする機会がかなり少ない現状がうかがえる。
 「社内に相談担当者を決めている」「社内に従業員が相談しやすい窓口を明確に設置している」としている会社で「従業員にセクシャルハラスメント防止の研修を行っている」はいずれも2割前後であった。

課題

 全体として「セクシャルハラスメント防止対策をしていない」が35.4%にも上ることは、まだまだセクシャルハラスメントに対する認識が深まっていない現状が浮き彫りになった。
 セクシャルハラスメントとは何か、どんな意識の下に起こるのか、なぜ問題なのか、会社にとってのマイナス要因は何かなどの周知が望まれる。会社の経営者や労務管理者、相談窓口担当者を対象とした研修会参加を義務づけるなどの行政指導も必要と考えられる。人事院規則では、ジェンダーハラスメント(女性職員だけにお茶出しを強要するなど)もセクシャルハラスメント防止対策の中に位置づけているが、この捉え方の周知はまだ不十分といえる。
 また、業種により取り組みに差が出る結果となったが、取り組みが遅れている業種には、その経営者協会等を通じてさらに取り組みの見直しを促すことも有効と思われる。
 従業員数により可能な取り組みも違ってくると思われるが、形だけ整えるのではなく、意識・制度の両面において実際に機能しているかどうかが重要なポイントとなる。担当者のポジションやセクシャルハラスメントに対する認識・力量により対応に差が出るものと考えられるが、相談者が2次被害を受けることのないよう慎重かつ適切な対処が望まれる。

第7章 その他について

目的

 本調査では、アンケート回答者に自社の男女共同参画の進捗度を5段階評価で答えてもらうことにより、回答者が職場においての男女共同参画をどう捉えているかを明らかにする。また、「とても進んでいる」「全く進んでいない」を比較することにより、回答者の考える男女共同参画の取り組みの進捗度により、職場にどのような差が生まれているかなどについて検討する。

結果

 「男女共同参画が進んでいるか」という問いに、「ふつう」と答えた回答者が42.3%、「全く進んでいない」(7.5%)、「まだまだ進んでいない」(29.8%)と答えた回答者が、「まあまあ進んでいる」(14.4%)「とても進んでいる」(3.6%)と答えた回答者を19.3ポイント上回った。
 本調査では、4割近い回答者が自社での男女共同参画の取り組みに課題を残していると感じていることが読み取れる。
 「全く進んでいない」と「とても進んでいる」を第1章の会社概要と第2章の全般の項目を中心に比較した結果、「男女共同参画の取り組みが進んでいる」と回答者が判断する主なものは、年収、女性管理職者数、ポジティブ・アクションの取り組み、男性の育児・介護休業取得があると考えられる。
 「とても進んでいる」と答えた会社の女性正規社員の平均年収は本調査全体の結果と比べても、高く、男性正規社員との賃金格差も小さい。また、女性管理職数を見ても、5割の会社が女性課長相当職を抱えているのに対して、「全く進んでいない」では、1社のみにとどまっている。
 「とても進んでいる」と回答した会社では、昇給・昇格等のポジティブ・アクションが他の会社に比べて、積極的に取り入れられている傾向が見受けられた。これは、女性だけが行う慣行や制度についての設問の「補助的な仕事だけをする」の回答に現れている。「全く進んでいない」では、4社が「ある」と答えたのに対して、「とても進んでいる」では0であった。
 一方、「全く進んでいない」「とても進んでいる」ともに共通した問題点は、女性だけが行う慣行や制度についての設問の「職員又は来客に対するお茶出し」に「ある」と答えた理由から、職場で無意識に性別役割による仕事分担が行われていることが伺える点である。また、子育て支援に関しては、「とても進んでいる」と答えた会社の4割弱が育児休業の規定がないという結果が出ている。
 本調査では、育児休業の規定が「ない」と答えた会社では、「ある」と答えた会社より、女性が仕事と家庭を両立するための様々な支援に遅れがあるとの結果がでている。

課題

 急速な少子化が進むなか、女性が仕事と家庭の両立を図りながら、働き続けられる職場環境の整備が急がれている。そのためには、ポジティブ・アクションと子育て支援のバランスがとても重要なポイントになると考えられる。年収が高い、管理職に登用される機会が多いだけで、女性たちは働き続けることができるだろうか。子育て支援等につながる働き方の見直しが必要と考えられる。
 県内企業は、従業員数から見ても規模は決して大きくはない。育児・介護休業の規定がない会社の理由として、「最小限の人数で業務を行っているため」という回答があったが、能力のある女性たちが働き続けられる職場は、企業にとっても有益なものであろう。県では、「男女共同参画による新しい価値の創造推進事業」として、出前講座や出前ワークショップを実施している。これらを利用して、男女共同参画を取り入れ、職場のより活性化を図ることも薦められる。また、国としても、雇用機会均等法の見直し、改正などを含めた法律の整備、中小企業への助成など、積極的な支援が必要と考えられる。

<資料> アンケート

●こちらをクリックするとアンケートの様式がご覧いただけます。

※ホームページでは概要のみの紹介になります。報告書をご覧になりたい方は、下記までお問合せください。

配布先 

  • 県内各市町村男女共同参画担当課
  • 全国の男女共同参画(女性)センター

などに配布しております。 

問合せ 

青森県男女共同参画センター
青森市中央3丁目17の1
TEL 017-732-1085 FAX 017-732-1073  

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