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青森県女性ロールモデル 【藤井 夏子さん】

青森県男女共同参画センター

2023年4月、七戸町議選においてトップ当選を果たした藤井さん。移住者でありながら、明るくおおらかな人柄で地元の方々から信頼を集める彼女の思いをお聞きしました。

分野:町づくり

「やってみたい」を大切に

七戸町議会議員
藤井 夏子 さん(七戸町)

【プロフィール】
 千葉県出身。家族と共に愛知県から七戸町へ移住。
 2023年4月の七戸町議選において最年少29歳でトップ当選を果たす。
 人のために動くことが好き。4児の母。

チャレンジのきっかけ

知らない地で初めての育児を経験
 千葉県で生まれ育ち、専門学校を卒業後に就職して結婚。夫の仕事の都合で愛知県へ行き、出産後は専業主婦として育児に奮闘する日々を送っていました。

 コロナが流行り出したのが、次女が生まれてすぐの頃。公園へ行っても遊具は使えず、周りに親戚や友人もいない環境の中でなんとかやり過ごす毎日。時が過ぎるのをただ待っていたという感覚でした。精神的に苦しく、心のバランスが取れなくなっていたような、今でも忘れられない時期を過ごしました。

愛知県から七戸町への移住
 そろそろどこかに家を建てようか、という話になった際に夫が言った「家を建てるなら七戸じゃない?」という一言。愛知県の会社員である夫がそんな提案をしてくれるとは思っていなかったので驚きました。

 七戸には私の父親の実家があり、幼い頃からお盆とお正月はこちらで過ごすことが多く、私にとって居心地の良い場所でした。緑も多く、雪もある。子育て環境としてもいいなと思いました。

 七戸に移住して都会の人の多さや選択肢の多さから解放されると、次第に心に余裕が出てきました。夫にはとても感謝しています。

 地域に溶け込みたいという思いから、積極的にいろいろな場所に顔を出しました。新しく事業を立ち上げた夫と協力し合って地域の飲み会に参加することもありました。そんな日々を過ごすうちに、地元の方々との繋がりが深まっていきました。
 移住した翌年には3人目を出産。以前から働きたい気持ちがあった私は、満を持して働こう!と考えていました。

「なっちゃん、選挙出ないか?」
 ある夜、一本の電話がかかってきました。青天の霹靂でした。
 内容は「私に選挙に出てほしい」というもので、七戸町の未来をつくりたい、若者を議会に送りたいという強い思いを持つ方々からのお声がけでした。

 電話の数日後、両親や夫も交えて私を推薦してくれている方々と話し合いをしました。「全面的にサポートするから一緒にやろう」という言い方をしてくれたのです。
 話を聞いた時はとてもワクワクしました。政治の経験はありませんでしたが、人のために動くことが好きな私は「おもしろそう、やってみたい!」と思い、考えた末に立候補を決意しました。

チャレンジのみちのり

チームで挑んだ選挙
 選挙活動は周りの方々の支えがあってのものでした。ものすごい人数の方々が、仕事の合間を縫ってサポートしてくれました。私は家事・育児の合間に名刺やチラシの作成をしたり、街頭演説をしたり。時間に制約がある中での選挙活動はかなりハードでした。

 選挙カーは高額のため普通の車を使ったのですが、ビールケースの上にスピーカーを置いて、それを支えながらマイクを持ち、車窓から手を振りました。地元の道に詳しい方が運転をしてくれて、とてもありがたかったです。チラシもたくさんの方が配ってくれて、少しずつ少しずつ、支持の輪を広げてくれました。本当にみんなで一緒に挑んだ選挙でした。

楽しくて、大変で、やりがいのある毎日
 議員になって1年。議員としての活動に非常にやりがいを感じています。
 当選した当初は右も左もわからない状態でしたが、この1年でやらなければいけないことがたくさん見えてきて「よし、やるぞ!」と使命感に駆られています。大変ですがとても楽しいですね。

 現在は個人事業主としての仕事もしています。子育てや仕事、家庭との両立の中で何かを取捨選択しなければいけない場面では「この判断は合っていたのだろうか」とすごく悩む場面もありますが「これでいいんだ、サボっているわけではない、全力で頑張っている。」と自分に言い聞かせながら、前を向いています。

チャレンジしてみて

議員の世界に飛び込んで見えたもの
 議員活動をする前は、政治に対して期待をしていなかったのが正直なところでした。
 政治というのはどこか遠いところで偉い人が何か話し合いをして、物事が勝手に決まっていく。私たちはそれに引っ張られて従っていくだけのものだと思っていました。

 しかし、少し足を踏み込んでみれば―そして少し主張の仕方を変えれば、世の中の流れは変えられることを知りました。それを知った時、全員が政治を自分ごととして捉えなければダメだなと強く感じました。現状に満足していない人は特に、政治に参加しなければいけないと強く思います。

 議員になって町の仕組みを知り、これまで見えていなかったものが見えてくるにつれて、自治体やそこで働く方々の大変さや気持ちが分かるようになりました。それによってねぎらいや感謝の気持ちも増えた実感があります。知れば知るほど見方が変わる。「知らないからしょうがない」で終わらなくてよかったと思っています。

「議員としての今後」と「なりたい自分」
 女性や若年層が少ない議会の中で、自分がいる意味を追求し、より良い気づきや働きかけができるように日々取り組んでいきたいと思っています。政治の大切な要素として、組織全体で視野をどれだけ広く持てるかという部分があります。異なる視点が多ければ多い分、気づきが増えます。自分という存在が地域にとって何か良い方向に作用したら嬉しいです。

 そして仕事でも生活でも、誰かの役に立っている時間をもっと増やしていきたいです。自分の性格上、自分のために時間を使うよりは「人のために動く」ことやその時間がとても好きなのです。現在は4人の子どもを育てている中で「人のため」という気持ちのベクトルや時間が、子どもに向いていることが多いです。子育ても一種の「誰かの役に立つこと」ですが、それ以外の何かを諦めてしまうことが少なく済むように、限りある時間を有効に使う努力をしていきたいです。二兎を追って二兎を得る。得た二兎をさらに誰かに還元できるような自分になることが目標です。


       

これからチャレンジする女性たちへ

 「やってみたい!」「面白そう」「ワクワクする」という気持ちは、どんな状況に置かれても、やれてもやれなくても、大事にしてほしいなと思います。
 自分が楽しくいられそう、成長できそうということが目の前にあってなおかつ「できるかも!」と思ったときは、1回飛び込んでみてください。飛び込んでみればすごくいい波に乗れるかもしれないから。

 今は子どもが…、仕事が…、など諦めなければいけないことはたくさんあるかもしれません。私もこれまで諦めてきたことがたくさんありました。
 しかし、頑張ってみてもし手が届きそうなのであれば、「やってみたらすごいかもよ」と伝えたいです。やってみたい、やりたいという気持ちを大切にしてほしいなと思います。

(令和6年4月取材)

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