青森県女性ロールモデル 事例24【上 さおりさん】
青森県男女共同参画センター
建設会社の現場で楽しく働く上さん。
二度の転職の経験から、縁あってたどり着いた、現在のあたたかく心地よい職場での活動や想いをお聞きしました。
分野:就業、キャリアアップ、専門職

自分の成長と気づきのために
株式会社 田名部組 建築部建築二課係長
上 さおりさん(八戸市)
上 さおりさん(八戸市)
【プロフィール】
階上町出身。
2012年 株式会社田名部組に入社し、現在は建築部建築二課に所属。
2021年からは、女性建設技術者ネットワーク会議(現:あおもり女建ネットワーク)会長に
就任し、活動している。
階上町出身。
2012年 株式会社田名部組に入社し、現在は建築部建築二課に所属。
2021年からは、女性建設技術者ネットワーク会議(現:あおもり女建ネットワーク)会長に
就任し、活動している。
チャレンジのきっかけ
☆悩んで決めた工業大学
階上町で生まれ育ち、八戸市内の高校へ進み、大学は母の勧めで医療系を目指しました。しかし受験に失敗。
浪人するか自宅から通える工業大学を受験するか選択を迫られ、親の意向に沿うしかないもどかしさを感じつつも、工業大学の建築工学科を受験することに。結果は無事合格し、入学することになりました。
学生生活は楽しく、新しい友人もでき充実していましたが、製図の授業だけは少し苦手で、もしかして私には向いていないかもと思うこともありました。
しかしこの時はまだ、こうして迷いながら選んだ道で、いま確かな花を咲かせることになるとは思ってもいませんでした。
階上町で生まれ育ち、八戸市内の高校へ進み、大学は母の勧めで医療系を目指しました。しかし受験に失敗。
浪人するか自宅から通える工業大学を受験するか選択を迫られ、親の意向に沿うしかないもどかしさを感じつつも、工業大学の建築工学科を受験することに。結果は無事合格し、入学することになりました。
学生生活は楽しく、新しい友人もでき充実していましたが、製図の授業だけは少し苦手で、もしかして私には向いていないかもと思うこともありました。
しかしこの時はまだ、こうして迷いながら選んだ道で、いま確かな花を咲かせることになるとは思ってもいませんでした。
☆資格取得、晴れて就職
就職活動時は、世の中が不景気で県内の求人はほとんどなく、大学教授の勧めもあって大学院へ進学することにしました。
大学院在学中に二級建築士の資格を取得し、県内の注文住宅の販売・設計・施工会社へ就職することができました。
就職活動時は、世の中が不景気で県内の求人はほとんどなく、大学教授の勧めもあって大学院へ進学することにしました。
大学院在学中に二級建築士の資格を取得し、県内の注文住宅の販売・設計・施工会社へ就職することができました。
チャレンジのみちのり
☆思いもよらぬ出来事
入社後は、希望した施工管理業務を担う部署に配属されました。現場監督として1年ほど経験を積み、確認申請業務がメインの仕事をしている頃から、だんだん会社の雰囲気が苦手だと感じはじめました。
女性らしい振舞いや気配りを求められること、仕事が遅いと言われること。加えて世の中がリーマンショックで不景気になり、売上が良くないことから社員に対しての当たりがきついと感じることが増えていき、精神的につらくなっていきました。
そんな矢先、リストラに遭いました。年末に社長から呼び出され、景気が悪いことを理由に「来月で退職してもらう」と勧告されました。対象となったのは私とCADオペレーター業務の女性の2人だけでした。その時のショックはかなり大きく、今でも思い出すのがつらい出来事でした。
入社後は、希望した施工管理業務を担う部署に配属されました。現場監督として1年ほど経験を積み、確認申請業務がメインの仕事をしている頃から、だんだん会社の雰囲気が苦手だと感じはじめました。
女性らしい振舞いや気配りを求められること、仕事が遅いと言われること。加えて世の中がリーマンショックで不景気になり、売上が良くないことから社員に対しての当たりがきついと感じることが増えていき、精神的につらくなっていきました。
そんな矢先、リストラに遭いました。年末に社長から呼び出され、景気が悪いことを理由に「来月で退職してもらう」と勧告されました。対象となったのは私とCADオペレーター業務の女性の2人だけでした。その時のショックはかなり大きく、今でも思い出すのがつらい出来事でした。
☆次のステージへ向かう
それでも前を向いて次に進もうと、ハローワークへ職探しに。リーマンショックの影響はかなり大きく、見習い可の建設業の求人はほぼありませんでした。
この状況では、建設業にこだわっていられない。もっと視野を広げて他の業種に挑戦してみようと。いつか自分のためにも役立つ介護の仕事を選択し、ホームヘルパー2級の資格を取得しました。
そして介護の就職先を求めてハローワークへ行くと、ある派遣会社の仕事が目に留まりました。金属を造る工場で、原料や製品工程の成分分析をする仕事です。これまでとは全く違う分野でしたが、大学院の研究で分析をやったことを思い出し、「これはできそうな仕事だな」と、すぐに飛びつき就職しました。待遇が良かったのも決め手の一つでした。
派遣期間は、最大3年までというルールがあり、半年ごとに契約を更新し続けていましたが、「もうすぐ3年、そろそろ次の仕事を探したほうがいいかな」と思っていた矢先でした。
それでも前を向いて次に進もうと、ハローワークへ職探しに。リーマンショックの影響はかなり大きく、見習い可の建設業の求人はほぼありませんでした。
この状況では、建設業にこだわっていられない。もっと視野を広げて他の業種に挑戦してみようと。いつか自分のためにも役立つ介護の仕事を選択し、ホームヘルパー2級の資格を取得しました。
そして介護の就職先を求めてハローワークへ行くと、ある派遣会社の仕事が目に留まりました。金属を造る工場で、原料や製品工程の成分分析をする仕事です。これまでとは全く違う分野でしたが、大学院の研究で分析をやったことを思い出し、「これはできそうな仕事だな」と、すぐに飛びつき就職しました。待遇が良かったのも決め手の一つでした。
派遣期間は、最大3年までというルールがあり、半年ごとに契約を更新し続けていましたが、「もうすぐ3年、そろそろ次の仕事を探したほうがいいかな」と思っていた矢先でした。
☆つながるキャリア
ある日、友人の父から声が掛かりました。「知り合いがCADを使える人を探している」と。建築図面をデジタルで作成するCADは、前職の住宅会社で使っていました。
本当は心から喜びたかったはずなのに、前職での嫌な思いが頭をよぎり、思い悩みました。
悩んでいても何も始まらないと気づき、「まずは面接だけでも受けてみよう」と会社訪問することに。面接に行くと、会社の雰囲気がとても良く、しかも入社することを前提にお話ししてくださり、あたたかく迎えていただきました。悩んでいたことが嘘のように全てクリアになりました。
建設業で再び働けることが嬉しく、「私にはやっぱりこの仕事しかない」と改めて感じた瞬間でもありました。
ある日、友人の父から声が掛かりました。「知り合いがCADを使える人を探している」と。建築図面をデジタルで作成するCADは、前職の住宅会社で使っていました。
本当は心から喜びたかったはずなのに、前職での嫌な思いが頭をよぎり、思い悩みました。
悩んでいても何も始まらないと気づき、「まずは面接だけでも受けてみよう」と会社訪問することに。面接に行くと、会社の雰囲気がとても良く、しかも入社することを前提にお話ししてくださり、あたたかく迎えていただきました。悩んでいたことが嘘のように全てクリアになりました。
建設業で再び働けることが嬉しく、「私にはやっぱりこの仕事しかない」と改めて感じた瞬間でもありました。
☆新たなステージで前進
最初は設計課で、CADオペレーターとして設計図面作成の手伝いや役所へ提出する書類作成の仕事をしました。
一級建築士の資格取得にも何度かチャレンジしましたが、なかなか一次試験を突破できず、先に1級建築施工管理技士を取得しました。
その後建築課の所属となり、ある現場で、工事の運営や取締りを行う現場代理人が体調不良でリタイアしたので、代わって私が代理人としてその現場を切り盛りすることに。最初は不安でしたが、上司や仲間の助けを借りて、その現場を無事に引き渡すことができました。
「もし現場監督が嫌じゃなかったら、これからも現場を割り当てていこうと思うけど、どうかな?」と、上司からの嬉しい打診に二つ返事で引き受け、そのまま現場監督を続けていくことにしました。
最初は設計課で、CADオペレーターとして設計図面作成の手伝いや役所へ提出する書類作成の仕事をしました。
一級建築士の資格取得にも何度かチャレンジしましたが、なかなか一次試験を突破できず、先に1級建築施工管理技士を取得しました。
その後建築課の所属となり、ある現場で、工事の運営や取締りを行う現場代理人が体調不良でリタイアしたので、代わって私が代理人としてその現場を切り盛りすることに。最初は不安でしたが、上司や仲間の助けを借りて、その現場を無事に引き渡すことができました。
「もし現場監督が嫌じゃなかったら、これからも現場を割り当てていこうと思うけど、どうかな?」と、上司からの嬉しい打診に二つ返事で引き受け、そのまま現場監督を続けていくことにしました。
☆再びはじまる、現場監督の道
現在は、現場代理人と監理技術者等を兼任し、発注者や設計監理者と打合せをしたり、現場で下請業者の作業に必要な連絡・調整をしたりするのはもちろん、工事全体の工程や品質・安全・コストの管理もしています。
いい現場にするために大事なことは、やはりコミュニケーションです。現場で何か問題が発生した時は、できるだけ職人さんと一緒に現場を見ながら意見を出し合い、解決策を考えるようにしています。なまり言葉の職人さんにはこちらも合わせてなまり言葉で。常に風通しのよい環境づくりを心掛けています。
現場監督として働いていて一番やりがいを感じるのは、やはり「建物ができあがったとき」です。「やったあ~」というやり遂げた喜びと達成感、そして安堵が入り混じり、なんとも気持ちがいいものです。自分たちの手で街の景色をまたひとつ造りあげたという誇りも感じます。だから次の現場がまた楽しみになるのだと思います。
現在は、現場代理人と監理技術者等を兼任し、発注者や設計監理者と打合せをしたり、現場で下請業者の作業に必要な連絡・調整をしたりするのはもちろん、工事全体の工程や品質・安全・コストの管理もしています。
いい現場にするために大事なことは、やはりコミュニケーションです。現場で何か問題が発生した時は、できるだけ職人さんと一緒に現場を見ながら意見を出し合い、解決策を考えるようにしています。なまり言葉の職人さんにはこちらも合わせてなまり言葉で。常に風通しのよい環境づくりを心掛けています。
現場監督として働いていて一番やりがいを感じるのは、やはり「建物ができあがったとき」です。「やったあ~」というやり遂げた喜びと達成感、そして安堵が入り混じり、なんとも気持ちがいいものです。自分たちの手で街の景色をまたひとつ造りあげたという誇りも感じます。だから次の現場がまた楽しみになるのだと思います。

チャレンジしてみて
☆ポジティブな考え
建設業は「街」をつくる仕事、土地に合った「ものづくり」をする仕事のため、経験を重ねても同じ現場は存在しません。新しく担当する現場が決まると、いまだに自分にできるか少し不安になります。
もともと、先行きが見えないとネガティブなことを想像して悶々と悩むタイプでした。しかし最近は、何かあったら誰かに相談すればいいと思えるようになりました。
「経験してみなければ分からないことは分からない」
「やってみると意外となんとかなる」
「きっと私だからできる仕事だと思って任せられたんだ」
と、ポジティブな考え方をするようになったら、何だかハードルが下がったような気がします。
県内の建設業で働く女性を取り巻く職場環境の改善を目的として設立された団体「女性建設技術者ネットワーク会議」の会長になるお話しがきたときも、「誰かが引き受けなければみんなが困る。できそうだから頼まれている。それなら快く引き受けよう」と。
ポジティブな考え方をして進んだ方が気持ち的に楽ですね。
建設業は「街」をつくる仕事、土地に合った「ものづくり」をする仕事のため、経験を重ねても同じ現場は存在しません。新しく担当する現場が決まると、いまだに自分にできるか少し不安になります。
もともと、先行きが見えないとネガティブなことを想像して悶々と悩むタイプでした。しかし最近は、何かあったら誰かに相談すればいいと思えるようになりました。
「経験してみなければ分からないことは分からない」
「やってみると意外となんとかなる」
「きっと私だからできる仕事だと思って任せられたんだ」
と、ポジティブな考え方をするようになったら、何だかハードルが下がったような気がします。
県内の建設業で働く女性を取り巻く職場環境の改善を目的として設立された団体「女性建設技術者ネットワーク会議」の会長になるお話しがきたときも、「誰かが引き受けなければみんなが困る。できそうだから頼まれている。それなら快く引き受けよう」と。
ポジティブな考え方をして進んだ方が気持ち的に楽ですね。
☆ワークライフバランスの大切さ
これまでは仕事がオフの時間をうまく過ごせていませんでした。現場が動いている日はどうしても落ち着かず休めなかったので、チームで半日ずつ休日出勤し、あとで代休を取ることで、現場をいつでも管理できるような体制にしました。
今後はさらにワークライフバランスを意識し改善していきたいです。
できれば一級建築士の資格も取得したいです。今はまだ毎日仕事に追われ、勉強時間が確保できないものの、いつかこの会社のため、そして自分のためにも取得したいと考えています。
これまでは仕事がオフの時間をうまく過ごせていませんでした。現場が動いている日はどうしても落ち着かず休めなかったので、チームで半日ずつ休日出勤し、あとで代休を取ることで、現場をいつでも管理できるような体制にしました。
今後はさらにワークライフバランスを意識し改善していきたいです。
できれば一級建築士の資格も取得したいです。今はまだ毎日仕事に追われ、勉強時間が確保できないものの、いつかこの会社のため、そして自分のためにも取得したいと考えています。
☆縁に生かされて
振り返ってみると、縁に生かされて今このポジションにいる気がします。人との縁に恵まれ、居心地のよいあたたかな場所が見つかり、好きな道を歩んでいます。縁が味方してくれました。
ともに切磋琢磨しながら働いている職場の仲間や、社員の頑張る姿を本当によく見てくれている上司のおかげで、毎日楽しく仕事ができています。家族や友人も含め、これまで支えてくれた人たちには「感謝」の気持ちでいっぱいです。
そして何より夫の存在です。
建築課の所属になったばかりの頃、夫に転勤の辞令が出ました。「赴任先で同業他社に雇ってもらえるほどのスキルを持っていないから、この会社を辞めたくない」そんな私の思いを汲みとり理解してくれて、3年間単身赴任をしてくれました。
おかげでキャリアが途切れることなく、今もこうして続けられていることに、心から「ありがとう」と感謝しています。
振り返ってみると、縁に生かされて今このポジションにいる気がします。人との縁に恵まれ、居心地のよいあたたかな場所が見つかり、好きな道を歩んでいます。縁が味方してくれました。
ともに切磋琢磨しながら働いている職場の仲間や、社員の頑張る姿を本当によく見てくれている上司のおかげで、毎日楽しく仕事ができています。家族や友人も含め、これまで支えてくれた人たちには「感謝」の気持ちでいっぱいです。
そして何より夫の存在です。
建築課の所属になったばかりの頃、夫に転勤の辞令が出ました。「赴任先で同業他社に雇ってもらえるほどのスキルを持っていないから、この会社を辞めたくない」そんな私の思いを汲みとり理解してくれて、3年間単身赴任をしてくれました。
おかげでキャリアが途切れることなく、今もこうして続けられていることに、心から「ありがとう」と感謝しています。
これからチャレンジする女性へメッセージ
☆自分の成長と気づきのために
「人生は一度きり」です。後悔が全くない人生というのは無理かもしれません。だからこそ悔いが残らないように、興味があったら思い切ってチャレンジしてほしいと思います。苦労したり失敗したりすることもあるけれど、自分を成長させ、気づきを与えてくれます。
人生いろいろなことが待ち受けていると思います。良いことも悪いことも。それでも
「人生どんなことがあろうとも、時が経てば笑って語れるいい思い出になるんじゃないかな」と思います。
自分を信じて、楽しみながらチャレンジしてほしいですね。
「人生は一度きり」です。後悔が全くない人生というのは無理かもしれません。だからこそ悔いが残らないように、興味があったら思い切ってチャレンジしてほしいと思います。苦労したり失敗したりすることもあるけれど、自分を成長させ、気づきを与えてくれます。
人生いろいろなことが待ち受けていると思います。良いことも悪いことも。それでも
「人生どんなことがあろうとも、時が経てば笑って語れるいい思い出になるんじゃないかな」と思います。
自分を信じて、楽しみながらチャレンジしてほしいですね。

(令和7年10月取材)





