青森県女性ロールモデル 事例22【和田 和恵さん】
移住先で高校教員をしながら任意団体を立ち上げた和田さん。
立ち上げのきっかけやその過程、想いについてお聞きしました。
分野:就業、町づくり

ことばよりも、まず行動
背中を見せることで伝わる思い
和田 和恵さん(東北町)
平内町出身。県立高校教諭。カフェ巡りが好き。
結婚を機に住み始めた東北町で任意団体オカルルベースを立ち上げ、
地域の交流の場を創出し、学びを提供している。
チャレンジのきっかけ
結婚を機に移住した東北町には当初、知り合いがいませんでした。自宅と職場との往復で誰ともつながりを持てない日々を1年ほど過ごしたころ、授業で「総合的な探究の時間」を受け持つことに。それは地域課題を探究・解決する授業ですが、私自身も取り組んだ経験がないものを生徒に指導することに対して、違和感がありました。
そこで東北町に愛着を持てずに過ごしていた私自身の課題を、まずは自分で解決してみようと考え、地域交流の場づくりにチャレンジする決意をしました。果たしてどこまでできるのかという実験的な意味もありました。
チャレンジのみちのり
もともとカフェ巡りが好きな私は、お茶を飲みながら偶然出会った人たちと話す時間が好きでした。そんな自然発生的なコミュニティのような交流の場が東北町にもあったらいいなと思い、構想を練っていきました。
☆「じゃあやりましょう」 町役場の後押し
構想を練っていたちょうどその頃、東北町役場が「町民によるまちづくり」を支援していることを知って、さっそく相談に行きました。すぐに「やりましょう」と協力してくださることになり、補助金の申請や活動場所の借用・整備、飲食営業許可の取得などの準備に取り掛かりました。
団体立ち上げのためのマニュアルもなく、全て手探りの状態からのスタート。戸惑いもありましたが、町役場の協力的なサポートのおかげで、スピード感をもって進めることができました。
同時に東北町の魅力をSNSで発信しはじめました。SNSを通じて地域の方々と交流を重ねるうちに、仲間も少しずつ増えていきました。出会った仲間と任意団体『オカルルベース』を設立し、現在は月に2回程度、体験的なイベントの企画・運営を中心に活動しています。

オカルルベースの「オカルル」はアイヌ語で「小川原湖」を意味します。旧東北町と旧上北町の両地域にまたがるこの大きな湖は、東北町の代表的な場所でもあります。オカルルベース設立当初の活動拠点であること、オカルルの「るる♪」というキャッチ―な響きが印象に残ることから、この名前を付けました。
☆行動のベースとなる思い
どんなものにも共通して言えることですが、人に何かを教えたり、意見したりする前に「まずは自分が行動する」ことが大切だと考えています。
生徒に探究活動を指導するならまず自分が経験・探究したいし、地域や社会に問題があると思うなら、まずは自分がやってみてから意見を言いたい。今の社会全体の傾向として、なんとなく他責思考が強い印象を受けますが、やはり行動を伴い説得力をもって意見を伝えることが大切だと思っています。
チャレンジしてみて
現在、団体設立3年目のオカルルベースは町内外さまざまなメンバーが加入し、イベント参加者だけでなくメンバー同士の交流も生まれています。自宅車庫を改装し、活動拠点を持つこともできました。

オカルルベースの活動内容については試行錯誤の連続ですが、
「人が集まり、つながる場所づくり」
「体験的な活動」
「東北町の良さの発見」
これらを軸に、面白そうと思うことはどんどんやってみよう!と活動しています。
交流イベントのほかにも、東北町小川原湖伝説のボードゲーム制作や、東北町のフリーペーパー制作など活動は多岐に渡ります。いずれの活動にも、東北町のことを地域の人たちにもっと知ってほしいという思いがあります。
地域への愛着を押しつけたいわけではないですが、地域を好きになるためには、まずはその地域を知ることが大切です。
「ここには何もない」と思っている地域の人に、他の地域から見たら実は当たり前でなかったり、魅力だったりすることがたくさんあることを知ってほしいですね。東北町って、まだまだ魅力があって可能性だらけなんです。
現在は私が主導していますが、活動しているうちに参加メンバーからも様々なアイディアが出るようになりました。最終的には、東北町や上北地域の誰かが「町のために何かをやりたい」と思った時に、応援できる組織になれたらいいなと考えています。
☆個人から社会へ 視野の広がり
活動を始めてから、社会や地域が自分ごとになった実感があります。これまでは個人からの視点でしか見えていなかったものが、活動を経て様々な人とつながっていく中で、社会的な視点で見えるようになりました。
「地域や社会を豊かに盛り上げていくためにはどうすればよいか」という視点で物事を考えられるようになったのです。
オカルルベースのメンバーは20代から60代。幅広い年齢層の方々と交流し、自分とは違う生活スタイルや考え方に触れることができます。地域にはいろいろな人がいて、自分の得意事を活かしながら、地元での生活を楽しんでいる人がいるのだと実感できます。
毎回学びがあり、感動があり、楽しさがある。この活動をやっていて本当に面白いなと感じます。
これからチャレンジする女性へメッセージ
現在は仕事や家事、地域活動を両立していますが、難病の治療などで仕事を休まざるを得ない状況が多くあり、職場に対して申し訳なさや心苦しさを感じることがあります。
職場では私の状況をきちんと言葉にして伝えることで、周囲に理解してもらおうと努めています。私の課題は私だけでなく、他の誰かの課題でもあるからです。
女性が結婚、出産、子育てなどのライフイベントを迎える中で自己実現を達成するには、たくさんの壁があります。だからこそ、思ったことや要望はきちんと言葉にして伝えてほしいですね。
今、女性がある程度働きやすく生きやすい社会になってきているのは、先人の女性たちが意見を伝えてきた結果です。だからこそ、私もしっかり周囲に言わなければいけないと感じています。
☆まずは小さくはじめてみて
やりたいと思ったことは、まずは小さくはじめてみると良いと思います。最初から大きく進まなくても、今できることを一つずつやり切っていけばいいのです。もし途中でエラーが生じたら、その都度修正していく。そうすれば一歩ずつ着実に進んでいけます。オカルルベースとしての活動も「まずは小さくやってみよう」と考えながら進み続けてここまできました。
私自身もやりたいことが多く、まだ取り組めていないこともたくさんありますが、一つずつ取り組んでいけば、時間はかかっても達成できます。そしてその「やりたいこと」に責任を持って誠実に取り組んでいけば、理解して手を差し伸べてくれる人が必ず現れるはずです。
(令和7年7月取材)





