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平成14年度 男女共同参画に関するテーマ別調査研究 メディアにおける男女共同参画に関する現状と課題 ~青森県のマスメディアに対する現状調査~

委託先:NPO法人青森県男女共同参画研究所

調査研究目的

男女共同参画社会づくりに向けて取り組みが進められる中で、人々の意識形成に大きな影響力を持つメディアに対する関心が強まり、男女共同参画社会づくりにおいてメディアが果たす役割に大きな期待がかけられてる。

男女共同参画基本法に基づいて策定された国の「男女共同参画基本計画」、さらに、本県の「あおもり男女共同参画プラン21」においても、メディアにおける表現に関する調査等、実態把握の必要性が指摘され、またメディア自身が、ジェンダーに敏感な視点で男女共同参画社会づくりに寄与することが期待されている。

メディアに対しては、「表現の自由」の問題などから行政などの公的機関が立ち入った調査や直接的な働きかけをするのが難しいことから、本県においてはこれまで、メディアの実態把握に関する調査研究はほとんど行われてこなかった。

そこで、私たち特定非営利活動法人青森県男女共同参画研究所では、市民の立場から青森県の男女共同参画の推進を目指すNPOとして、青森県男女共同参画センターから「平成14年度男女共同参画に関するテーマ別調査研究」の委託を受け、県内の主要メディアを対象に調査研究を行うことにした。

私たちは、メディアが発信する情報の受け手として、男女共同参画の視点からメディアを批判的に捉えて問題点を指摘することだけに止まるのではなく、メディア側の積極的な取り組みにも注目して評価するとともに、今後の改善点や取り組みについても建設的で具体的な提案を行うことができるように留意した。

この調査をきっかけに、メディアに携わる方々が、男女共同参画社会の必要性とその実現に向けてメディアが果たす役割の重要性についての認識を深め、「自主的な取組み」をより一層進められることを強く望みたい。

調査対象および内容

本調査研究の対象の選定にあたっては、様々なメディアの中でも、一般の人々が最も日常的に頻繁に接触しており、意識形成にも大きな影響を与えていると考えられる、新聞と放送(テレビ・ラジオ)を取り上げることにし、青森県内の主要なマスメディアである新聞社3社(地方紙)と放送局3社(ローカル局)を選定した。

調査は、次の3つの側面に着目して行った。
(1)会社組織における男女共同参画の実態を明らかにするため、社員構成、労働環境などについて調査対象6社に対しアンケート調査
(2)働き方や意識を探るために、新聞記者や報道記者、アナウンサーなど報道現場で働く25人(6社)の男女社員へのインタビュー調査
(3)報道内容における男女共同参画の実態を明らかにするための、各社の新聞記事、放送番組などを点検する作業

調査結果

(1)会社組織における男女共同参画の現状

社員構成の面からみると、正社員の女性割合が、新聞社では平均10.5%、放送局では22.0%で、 新聞社は、会社によるばらつきが大きく、最高が24.5%で最低では5.2%(表1.2)であった。

また、部門による男女の偏りも大きく、新聞社では、女性社員の5割強が、直接紙面づくりに関わる編集部門に配属されているものの、それでも編集部門全体に占める女性の割合は、13.1%に過ぎまない。放送局では、アナウンサーやキャスターの男女割合はほぼ同じだが、報道記者には女性が11.4%しかいない。さらに、役職者では、新聞社では、局長・局次長はおらず、部長2人、部次長3人で、役職者に占める女性の割合は1.6%。放送局では、局長・局次長2人、部長4人、副部長1人で5.9%といずれも非常に少ない。

これまで新聞社、放送局で働く女性の割合が少ないことについては、1993年の「第4回国連世界女性会議・女性とメディア研究日本委員会」調査や、1999年の「日本女性放送者懇談会」調査でも明かにされている。

本県のマスメディアも、圧倒的に男性が多い職場で、役職者はほとんどが男性であるという現状が確認できる結果となった。

(2)報道現場で働く男女の意識

報道現場で働く人たちに、働き方や仕事に対する考え方についてインタビューした結果、不規則・長時間勤務という実態が明らかになった。男女とも報道の仕事をする以上、不規則・長時間勤務はあたり前で仕方がないと思い込んでおり、そのため独身女性は結婚や出産、管理職になることについても「難しい」「できそうにない」と考えている。しかし育児休業を取得した女性たちからは、管理職になることへの希望、職場の改善、男女共同参画の情報発信など自分の体験を踏まえた具体的な提案がみられた。

(3)報道内容

1)新聞(3社の新聞記事を1ヶ月間点検:2002年9月実施)
①男女共同参画の視点からみて望ましくないと思われる表現として8つのチェック・ポイントを設けて点検した結果、各社まんべんなくあり、全部で80件になった。なかでも多かったのが、「男女を公正に扱っていない」と思われる表現で、49件と半分以上を占めている
全体として明らかな女性差別的な表現はなくなってきており、男女の在り方に関する固定観念(ジェンダー)に対しても、ある程度配慮するようになってきている。
②男女共同参画に関する記事は6つのチェックポイントを設けて点検したところ3紙あわせて168件もあり、なかでも「女性の能力や働きを掘り起こし、社会的評価を促している」記事が一番多く54件あった

2)放送(テレビ・ラジオ)
①テレビでは3局の夕方のニュース番組(18:19~19:00)を3週間点検した。男女2人のアナウンサーの原稿読み上げ量を比べると、3局とも女性のほうが男性より多く、平均して約1.3倍読み上げていた。しかし、内容的には「天気予報」を読み上げているのがほとんど女性であり、「家庭・暮らし」の分野も女性が読み上げることが多いなど、男女による微妙な違いがわかった。
②ラジオでは1局の午後4時間の生番組を1週間点検した。ラジオ番組の点検でもたとえば「早くいい人見つけないと」「早く嫁っこさ行きなさい」と連発するなど男女共同参画の視点から望ましくないと思われる表現がみられた。 

メディアに対する期待、要望

1)女性社員を増やす

メディアに女性が少ないという問題は、第1に「社会のあらゆる分野の活動に女性と男性が対等な立場で参画する」という男女共同参画の基本理念に照らして問題であるということ、第2にメディアの場合、発信される情報が男性の視点に偏る危険性が大きいことである。
改正雇用機会均等法でも、ポジティブ・アクションなど女性の積極的が規定されており、時代の最先端を行くマスメディアなればこそ、女性社員をどう増やしていくかをそれぞれの会社で真剣に考えてもらいたい。是非率先して取り組み、自らその体験を報道するというようなことをして欲しい。
女性が働きやすいということは、男性も働きやすくなるということに気づいてほしい。

2)「取り決め集」の作成

朝日新聞社では、社内用に「ジェンダーに配慮した言葉の取り決め集」を作成している。青森の新聞社や放送局でもそれぞれの会社で、報道する際の基準にジェンダーの視点をきちんと入れた「取り決め集」のようなものを、ぜひ作って欲しい。

3)男女共同参画・ジェンダー研修

インタビュー結果から、一部の人を除き男女共同参画について関心がない人や、言葉だけは知っているがよくわからないという人が多いことがわかった。新人研修や社員研修に、男女共同参画の課題ややジェンダー視点をぜひ取り入れてもらいたい。

4)生活者としての多様な経験

報道現場で働く人たちにとって、自分が経験して覚えていることが報道の基準になるのであるから、生活者として多様な経験をして欲しい。そのためにも不規則・長時間勤務の改善を求めるべきであるが、1つの会社だけで、取り組むのは難しい現状にある。やはり社会全体が、仕事中心の生き方や生活を当然視するのではなく、仕事も家庭(個人の生活)も同じように大事にすることができるように変わっていくべきであろう。
人々の意識形成に大きな影響力を持っているメディアは、そうした男女共同参画社会の実現を促すような情報発信を積極的に行なうことによって、結果的に自分たちの会社の状況を改善することにもなるということに気づいてほしい。

読者・視聴者への期待

1)メディア・リテラシー

読者や視聴者である私たちが、的確で建設的な意見をどの程度メディアに伝えることができるかという、メディア・リテラシーが問われている。

新聞やテレビ・ラジオなどで、おかしいと思う表現があったら、家族で話し合ってみることがメディア・リテラシーの第一歩となる。

また、いつも特定の新聞やテレビ局のニュースを見て、その情報を鵜呑みにしていると判断が偏ってしまうおそれがあるため、できるだけ、多様なメディアを見比べて、自分なりに判断する力を養うことが必要である。

2)新聞購読者となること

新聞の場合、購読者の伸び悩みで広告料収入に頼らざるを得なくなると、広告主向きの報道内容になる危険性が大きくなる。報道の中立性を守るためには読者である私たちが、きちんと購読し意見を言っていく必要がある。

3)メディアへの働きかけ方

新聞社や放送局への投書の書き方や電話のかけ方など、メディアに対する働きかけの方法について学ぶ必要がある。また、男女共同参画の視点から望ましくないことを指摘するだけではなく、男女共同参画を取り上げたよい企画にはエールを送ることも心がけたい。

配布先 

  • 県内各市町村男女共同参画担当課
  • 全国の男女共同参画(女性)センター

などに配布しております。 

問合せ 

青森県男女共同参画センター
青森市中央3丁目17の1
TEL 017-732-1085 FAX 017-732-1073  

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