青森県女性ロールモデル 【冨岡 未希さん】
東京と青森の二拠点生活を選択し、働きながら青森で事業を立ち上げた冨岡さん。
現在に至るまでの思いやワクワクするような未来についてお聞きしました。
分野:起業

自分の気持ちに耳をかたむけて
冨岡 未希 さん(青森市)
【プロフィール】
むつ市生まれ、八戸育ち。2009年ミスねぶたグランプリ。
青森への思いを胸に起業。
「全米ヨガアライアンス認定RYT200」「サウナ・スパプロフェッショナル」を取得し、サウナカーでのサービスを中心に事業を展開している。
チャレンジのきっかけ
高校卒業後は明治大学へ進学し、東京のホテルへ就職しました。東京にいる期間が長くなるにつれて青森が恋しくなっていた私は、青森との繋がりを求めてミスねぶたにチャレンジすることに。1年間のミスねぶたとしての活動を通して、津軽の人のあたたかさに触れ「やっぱり青森が好き」「もっと青森のことを知りたい」と思うようになりました。
☆多忙な仕事と休養期間
結婚後に航空会社に転職しました。高校時代に抱いていた「世界を見てみたい」という夢を、この仕事でなら叶えられると思ったのです。
客室乗務員として数年間勤務した後、指導する立場の部署に配属されました。「人に教えるためには自分が200%分かっていなければ」と自分に厳しくし過ぎていた私は、朝から晩まで勉強したり、早く出社して指導内容を確認したり。そのような全力投球の日々が続いた結果、心身のバランスを崩して半年間休養をとりました。
休職当初に周りから「自分の好きなことをやった方がいい」というアドバイスをもらっていましたが、自分の好きなことがわからず、時間があるときに自分が何をやっていたかも思い出せない状態でした。
☆サウナとの出会いと背中を押した数々の転機
休職期間中、姉と行った温泉で「いいから入ってごらん」と言われた水風呂。しっかりと体を温めてから入った水風呂の気持ちよさに衝撃を受けました。それからサウナと温冷交代浴の良さを教わり、週5日サウナに通うほどハマっていきました。
サウナの癒しのおかげもあって、徐々に心身が回復すると共に浮かんできたのは
「やっぱり青森が好き、青森に帰りたい」
「雇われているだけじゃなく自分のペースでお金を生み出す経験がしたい」
「自分の力で人を喜ばせたい」
という思いでした。
その頃、離婚を経験。悲しい出来事だったものの「これでいつでも青森へ帰れる!」という思いが浮かんだのも正直なところでした。これをきっかけに人生を考え直そうと思ったことが、青森へのUターンと起業への後押しになりました。
そしてコロナ禍に突入。本業の働き方が大きく変化し、「兼業」と「地方からの通勤」が認められたことで、「これはチャンスだ!」と思いました。
チャレンジのみちのり
☆模索する日々と人との繋がり
「まずは東京でいろいろ模索してみよう」と移住支援セミナーや交流会に参加して情報を得ながら、SNSで自分の大好きな青森を発信し始めました。次第に共感してくださる方からの反応が増えていき、アドバイスももらえるようになりました。
関東にある青森の産直で、東京在住の青森県民が集まる場があります。「私も青森出身なんです」と声をかけたのが始まりで、その産直でSNS投稿のお手伝いやポップや看板などのグラフィックデザインを担当するようになりました。徐々にお店のファンの人も私のファンになってくれて、様々な人と繋がることができました。
人との繋がりは本当に大切だと思います。自分から飛び込んでその方々と繋がったら、一気に人脈が広がっていきました。移住を経験した人達からも「人が人を紹介してみんなと仲良くなった」というのをよく聞いていましたが、私もまさにそれを体験することになりました。

☆道を見つけたら一直線
どうせやるなら自分の大好きなことをやりたい。自分の大好きなことはなんだろう。
そこで頭に浮かんだのが「青森」と「サウナ」でした。「青森を走り回って自分の目で見たい。そうだ、車をサウナにして、青森の魅力を肌で感じるサウナサービスを提供しよう!」とサウナカーに行きついたのです。
早速、車について調べ始めて出会ったのは、つがる市の方が作るキャンピングカー“バグトラック”でした。青森に限定して探していたわけではなかったので、「これだ」と思ったものが偶然にも青森のメーカーであることに運命を感じ、すぐに東京から飛んで行って作ってほしいとお願いしました。5カ月後にはサウナカーが出来上がり、その後開業届を提出。思いついてから開業するまでのスピードはとても早かったです。新しいことを始める不安より「やってみたい」という気持ちが強く、それが原動力となっていました。
☆青森愛に溢れたサウナカー
地域おこしとしてサウナを使いたい気持ちが強かったため、ただのサウナでは面白くないと思いました。五戸町のアウトドアメーカーの縦型ストーブ、つがる市のバグトラック、青森ヒバを使用した内装、津軽塗の装飾。実際にサウナに使用する薪などの材料も全て青森のものを使用しています。県内各地の魅力がつまった青森三昧のサウナカーが出来上がりました。
チャレンジしてみて
☆下北・南部・津軽を繋いで世界へ魅力を発信したい
むつ市に生まれ、八戸市で育ち、ミスねぶたを通して津軽を知り…青森県の良さというのは漠然と分かっていたつもりでしたが、地域によって言葉も文化も違っていて、同じ県内なのにお互いが相手の地域のことを知らない部分が多いことに気づきました。それと同時に少し寂しさも感じていました。
私はサウナカーを通して下北・南部・津軽を繋ぎたいという思いを持っています。それぞれの魅力を繋ぎ合わせて発信したら、日本全国のみならず世界へ青森の魅力を広げられると信じているのです。屋号のUNITED AOMORIはその思いからきています。
青森県は多彩な魅力に溢れています。魅力がたくさんありすぎて、いわゆるカオスな状態だと思っています。県外からみて魅力的にみえるものも沢山あれば、一見奇妙に見える独特な文化もある。それら全部をひっくるめて「青森の良さ」として発信していきたいと思っています。外に発信するだけでなく県内にいる人にも、青森の魅力に改めて気づいてもらえるきっかけを作りたいです。
☆青森での事業に専念
2024年8月からは本業であった航空会社を辞めて、自分の事業に集中します。これからが本当のチャレンジになりそうです。
現在とても充実しています。自分の事業に使える時間をもっと増やして、青森に貢献するために自分に出来ることや、自分がやりたいことの考えを広げている最中です。やりたいことはたくさんありますが、まずは青森市野沢川部に「UNITED AOMORI BASE(ゆな青ベース)」をオープンし、ヨガとサウナのコンテンツを掛け合わせたサービスの提供を始めます!
これからチャレンジする女性へのメッセージ
☆本当にそれやりたい?を自分に3回聞いてみて
ヨガの先生に教えていただいたことで、本当に自分がやりたいことを3回自分に聞いてみる、ということを私も実践しています。選択をしなければいけない時や、人生の岐路に立って悩んだ時に「本当にそれ自分がやりたいこと?」と3回自分に聞いてみてください。1回目に「やりたい」と思っても、2回目に聞いた時に迷いが生じたら、もしかしたらそれは自分がやりたくないことかもしれません。
心から好きなことに関しては、自然とパワーが湧いてきますし、行動に繋がります。世界がキラキラして見えて、毎日が楽しくなります。ぜひ今の自分の心や、今の自分の気持ちに素直に…マインドフルな日々を過ごしましょう。
(令和6年6月取材)