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平成19年度 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)と男女共同参画に関する調査

委託先:特定非営利活動法人ウィメンズネット青森

アンケートの概要

1. 調査目的

県内企業が、従業員の子育て・介護・家事負担、および地域活動への参加などに対して、どのような配慮や支援を行っているか把握し、今後の企業に対する「ワーク・ライフ・バランス」推進、施策の基礎資料を得ることを目的に調査を行った。

2. 調査方法

『職場の現状とワーク・ライフ・バランスについてのアンケート調査』

調査対象

東奥年鑑(平成20年度版)より、青森県内に本社を置く従業員20人以上と記載している企業1,368社を抽出し、調査対象とした。

調査内容

①企業の概要
②休業制度
③ワーク・ライフ・バランスについて

調査方法

郵送調査法(郵送で調査表を配布し、返送してもらう)

アンケート実施期間

平成19年10月17日~11月15日

回収状況

有効回答数 449 有効回答率 32.8%

『ワーク・ライフ・バランスに関する聞き取り調査』

調査対象

上記のアンケート調査回収表の中から、地域バランスを考慮して、育児休業、介護休業取得実績があり、かつ自由記載が多かった企業を選び、さらにそれらの中から青森市、八戸市、弘前市の本社を置く企業を選考した。

調査内容

主な聞き取り内容は、①従業員に対する支援 ②会社への影響等

調査方法

直接企業を訪問し、調査員3名で面談した。

調査期間

平成20年2月

『育児休業取得従業員に対するアンケート調査』

調査対象

聞き取り調査を行った3社の従業員で、過去に育児休業を取得したことがある男女従業員(5名)

調査内容

育児休業取得の期間、動機、復帰後の状況、自由意見等

調査期間

平成20年2月

回収状況

男性3名、女性2名(計5名)

調査のまとめ

『職場の現状とワーク・ライフ・バランスについてのアンケート調査』のまとめ

1. 企業の概要

 回答のあった企業は、建設業が全体の30.5%を占め、以下製造業、卸・小売業、サービス業、運輸業、飲食店・宿泊業で約90%を占めている。また従業員が300人未満の企業は約95%、100人未満の企業は約82%を占めており、ほとんどが中小企業である。
 また、長引く不況下の中でも、3年前と比較し、売上(利益)を伸ばしている企業は約20%あったが、約50%の企業は売り上げ(利益)が減少しているという厳しい状況にある。その中で、全従業員の減少している企業は50%近くにのぼり、正社員数も減少している企業は40%を超えている。全体的に雇用状況は厳しい。

2. 従業員からの提案の仕組み

 職場環境の改善や私生活の事情について従業員が何か意思表示をしたり、会社に要望を提案できる仕組みは、約60%の企業にあったが、約40%の企業には仕組みが整えられていない。企業数が多い運輸業、製造業、サービス業では、約70%の企業に仕組みがあり、また全従業員数が100人以上の企業では80%近くの企業で仕組みができていた。
 仕組みの内容は、約40%の企業で「上司部下の面談制度」を挙げ、以下「従業員代表との意見交換」「苦情処理制度」「福利厚生に関連する社内制度」等が多かった。1社で複数回答している企業も多く、従業員の声を聞こうとする企業の姿勢をみることができた。

3. 就業時間・休暇休業時間

 育児休業制度、介護休業制度の導入は全企業に義務付けられているが、企業の就業規則の中に育児休業制度の規定がある企業は81%、介護休業制度の規定がある企業は73%となっていた。これらの規定は、従業員数が多い企業ほど就業規則に入れている企業が多く、従業員数が100人以上の企業は育児休業、介護休業ともに、90%を超えていた。
 18年度の育児休業制度の利用状況は男性12人、女性187人(男性6%、女性94%)となっており、女性従業員と比較して、男性従業員の利用はまだ少ない。一方で、18年度の介護休業制度の利用状況は男性12人、女性31人(男性28%、女性72%)となっていた。介護休業制度の利用は育児休業制度の利用に比べて少ないが、高齢化社会が進む中で利用希望者は増えていくと予測される。
 育児・介護休業制度の周知方法は、入社時に説明している企業が40%にのぼっているが、知らせていない企業も多く、休業制度の周知には積極的でない企業も多い。しかし、労働者の権利でもあり、企業からの説明機会を増やすとともに、従業員自身が自分に関係のある法律に敏感になることも必要である。
 企業の一人当たりの年間労働時間は「2000時間以上~2200時間未満」週に換算すれば「38時間~42時間未満」の企業が約50%を超え、「1800時間以上~2000時間未満」の企業が約30%となっていて、最近問題になっている長時間労働の企業は多くないが、100人以上の企業についてみると、労働時間が「2400時間以上」という企業が約8%あり、長時間の労働になっているのが気にかかる。
 育児休業の利用に関しては、年間労働時間が1800時間未満の企業で利用が多く、労働時間が少ない企業の方が、利用しやすい傾向にあった。

4. 従業員への配慮

 従業員の就業時間と私生活の時間のバランスを配慮している企業は50%を超え、「今後予定している」を含めて、60%近くが配慮をする傾向にある一方で、「配慮をしていない」企業は40%を超えている。配慮をしていない企業では「従業員の要求がない」という理由が71%を超え、「配慮する余力がない」は53%となっていた。自由記述の中にもあったが、会社に言える状況ではないという従業員と、配慮できるような経営状態にないという経営者側の意識が伺われる。
 また、全体的に配慮をしている企業のほうが育児休業を取得しやすい傾向があり、育児休業を取得している男性従業員のいる企業のうち配慮がある企業は83%、同じく女性従業員のいる企業では、64%となっていた。
 従業員に対する配慮や職務変更の方法は「時間外労働の免除」「従業員の担当業務や職種の変更」が多く、以下「職場全体の職務担当や分担の見直し」「始業時刻や勤務シフトの事前明示」「年次休暇の取得奨励」となっている。また企業の職種によって、細かな対応も見られ、各企業の配慮の努力がうかがわれる。
 配慮することで、何かの支障があるかという問いには企業の半数近くが「ない」と答えており、「ある」と答えている企業は約3分の1にとどまっている。既婚・独身、男女を問わずにワーク・ライフ・バランスが図られていると感じている人の方が、仕事への意欲が高いといわれていることから、「配慮をする」ことは企業にも好影響を与えてくれると考えられている。ただ、実際に従業員が満足しているかわからないと答えている企業が6割もあったので検証することが必要と思われる。
 従業員に対する配慮の実施には、会社組織のトップの意向が一番影響が大きいと答える企業が多く、トップの考え方で「ワーク・ライフ・バランス」は柔軟な形で取り入れられる取り組みとなることが予想される。

5. ワーク・ライフ・バランス

 「ワーク・ライフ・バランス」は、「次世代育成支援対策推進法」が平成16年に施行され、その前後から、日本では徐々に使用されてきた新しい言葉ではあるが、ここ1~2年で政府も強力に推進していることから、43%の企業が認知していた。また、従業員の多い企業ほど認知度が高かったが、従業員に配慮している企業でも、この言葉をあまり使っていなかった。
 また、女性従業員と男性従業員の両方に対して、配慮すべきかどうかの項目で女性従業員の育児、女性従業員の介護に対しては、「配慮すべき」と答えている企業はそれぞれ8割、6割と高い。それに対して男性従業員のそれは2割程度となっていた。
 企業においても、育児や介護は女性の役割であると考えている企業が多いことが伺える。

『ワーク・ライフ・バランスに関する聞き取り調査』のまとめ

1. 企業にとってもプラス面

 育児休業制度を利用してもらうことで、企業にプラスに働いたことは、習得してもらった技能、或いは専門的な知識を復帰後も活用してもらうことができ、新たな教育にかける時間と経費を省略できた。

2. 他の従業員への影響

①育児休業制度を利用した人がいる実例があることで、他の従業員にとっても利用しやすい職場環境になっている。また利用しやすい環境は、従業員にとって、いつでも利用可能であると安心して働ける企業といえる。逆を言えば、制度が有っても、それを利用できる環境が整っていなければ、休業制度を利用しにくい。
②育児休業制度を複数回利用している従業員もいたことは、この制度が利用した人にとっては、有用な制度だったといえる。
③育児休業利用中に企業を辞めた人がいた。利用する方も、権利としての意識だけではなく、責任も自覚して欲しい。

3. 社会貢献として

①子どもを育てやすい環境を準備することは、将来的に見れば企業の為になる。少子化問題は、企業としても切実な問題となっており、子どもたちが少なくなっている現実は、企業の売り上げにも大きな影響があり、また、地域の中で若い人達が生活しやすい環境にしていくことは必要だと考えている。
②私生活を大切にすることによって、従業員の心の安定を図り、事故のないようにすることも経営者としての在り方と考えている。

4. 職場環境を整える方策

①勤務シフトの見直し。
②残された従業員の中でやりくりする。

5. 従業員の復帰後の態度

 特に変化は見られないが、そのまま継続して仕事ができることは、育児休業を利用するものとしては、大変安心できることであるだろう。

6. 政策に望むこと

 企業は自身の営業利益から、少子化問題を切実に捉えている。子どもを育てやすい環境を、更に作っていくことを望んでいる。

7. その他

①会社という一つの組織だけではなく、会社以外の場所に自分のネットワーク作りをすることも進めている。それは、メンタルヘルスの点からも有効である。
②企業内に保育施設を設け、保育行政にばかり頼らないことも必要である

『育児休業取得従業員に対するアンケート調査』のまとめ

  1. 育児休業対象児は、第1子が3名、第2子が3名、第3子が1名となっている。
  2. 育児休業取得回数は、1回が4名、3回が1名となっている。
  3. 育児休業取得期間は、長い人で5ヶ月、短い人で30日。
  4. 育児休業取得は男女共に本人からの希望で取得する者が多く、動機は、「育児に専念したかったから」「妻の体を休ませるため」「妻が親の面倒を見るため」となっていた。
  5. 育児休業制度については、説明があった人は、わずかに1名で、あとは、他からの情報(「ポスターを見た」「育児・介護休業法を知っていた」「他の従業員が取得していた」)からであった。
  6. 育児休業中の過ごし方は、女性は、「家事全般に追われて生活の余裕が持てなかった」を選択しているのに対して、男性は「家事の合間に仕事や生活を振り返ることができてよかった」となっている。
    育児に専念できたことは良かったようだが、女性の育児は家事全般を担いながらの余裕がない状態であり、男性の育児には妻の手助けという形の余裕がある状態だっただろうと考えられる。
  7. 会社の支援は「代替要員の配置」が多い。
  8. 職場に復帰後の業務内容は、復帰前と同じがほとんどであったが、変えられた人もいた。制度としてある中で、この制度を利用することで不利益になることは、あってはならないことだと考える。
  9. 育児休業取得後の効果については、女性は子育てのリズムができたことで、心配事がなく仕事に集中でき、男性は妻の体調が安定して、復帰後も安心して仕事ができたとあり、効果としては、安心して復帰できたことである。
  10. 育児休業取得のマイナスは、「なし」が多かったが、申し出時点での復帰後の担当替えの示唆、また復帰後の担当替え、上司からの無視という精神的な苦痛を受けた人もおり、育児休業制度を職場全体で理解することが必要だと考えられる。
  11. 育児休業取得制度は、男性勤労者がこれから更に取得していくことが望まれる制度であり、家族として親として子育てに父母共にかかわることで家族を見つめなおすいい機会になる。また、核家族にとっては、大きな助けになる制度である。夫婦で子育てに関わることで、育児ストレスを軽減できるなど、労働者にとっては、メリットが多い。

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